テラーノベル
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…暗い…暗い闇の中から…声がする
「君たちは…見えていますか?」
声は…闇に反響する
「彼らも見えていますか?」
ゆっくりと、力強い言葉が辺りを満たす。
「私は誰?」
「それは誰にもわからない…」
「でも私は見える…」
「深くに染み入る闇と」
「美味しそうな…わらびもちが」
シルクハットを被った男は続けて話す
「君たちは知ることになる?」
男の目が光る
「この世界を…」
「ふぅ…これで今日の課題は終わりか…」
僕の名前は[マリー]、この学校に通っている普通の中学生。名前のマリーは、花のマリーゴールドから取られたって母さんから聞いたな…。まあ、今となっては母さんはどこにもいないけど。
でも…僕には、ひとつだけ…普通じゃないことがある。
「おい、お前」
「!…は…はい…」
「相変わらずキモい顔してんな」
それは…いじめを受けていると言うところだ
「それはそうとして…今日も体育で怪我しちまってよ、俺の荷物持ってってくれるよな?」
ただの擦り傷の癖に…
「うん、分かったよ…」
そんなことを思っても口にはできない、口にしたところで…殴られるだけだから…
放課後…
僕はいじめっ子のリュックを持って、いつもの帰り道を歩いていた。昔は道端できれいに咲いていた花も、いずれ枯れて朽ち果てる…僕も最後はああなるのかな…
どこかから声がしたような気がした
「…なんだ?」
手招きするような声が、脳裏に焼き付く
「…こっちから聞こえる…」
気づけば、僕は学校から立ち入り禁止と言われていた裏山に入っていった…
「…あれ?僕いつのまにかこんなところまで?」
深い森の中は、まだ5時なのに異様に暗く…空気が重かった
「道が分からないな…スマホ…」
僕はポケットからスマホを取り出そうとした、でも…
「あれ!?スマホがない!他の荷物も!」
僕は何処かに荷物を全て置いて きたらしい
「ああ…もうこれ確実に遭難じゃん…」
[死]と言う嫌な文字が浮かび上がったが、首をブンブン震いその事を忘れた
「ん?」
首を震い、回りを見渡したからか…ひとつの建物らしき物を見つけた
「やった!もしかしたら人がいるかも!」
一筋の希望を胸に、僕は走り出した…それが最悪の結末を迎えることなども知らずに…
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