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1 - 第1話 「古びた心の中で」

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2025年07月09日

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…暗い…暗い闇の中から…声がする

「君たちは…見えていますか?」

声は…闇に反響する

「彼らも見えていますか?」

ゆっくりと、力強い言葉が辺りを満たす。

「私は誰?」

「それは誰にもわからない…」

「でも私は見える…」

「深くに染み入る闇と」

「美味しそうな…わらびもちが」

シルクハットを被った男は続けて話す

「君たちは知ることになる?」

男の目が光る

「この世界を…」




「ふぅ…これで今日の課題は終わりか…」

僕の名前は[マリー]、この学校に通っている普通の中学生。名前のマリーは、花のマリーゴールドから取られたって母さんから聞いたな…。まあ、今となっては母さんはどこにもいないけど。

でも…僕には、ひとつだけ…普通じゃないことがある。

おい、お前

「!…は…はい…」

相変わらずキモい顔してんな

それは…いじめを受けていると言うところだ

それはそうとして…今日も体育で怪我しちまってよ、俺の荷物持ってってくれるよな?

ただの擦り傷の癖に…

「うん、分かったよ…」

そんなことを思っても口にはできない、口にしたところで…殴られるだけだから…




放課後…

僕はいじめっ子のリュックを持って、いつもの帰り道を歩いていた。昔は道端できれいに咲いていた花も、いずれ枯れて朽ち果てる…僕も最後はああなるのかな…


どこかから声がしたような気がした

「…なんだ?」

手招きするような声が、脳裏に焼き付く

「…こっちから聞こえる…」

気づけば、僕は学校から立ち入り禁止と言われていた裏山に入っていった…

「…あれ?僕いつのまにかこんなところまで?」

深い森の中は、まだ5時なのに異様に暗く…空気が重かった

「道が分からないな…スマホ…」

僕はポケットからスマホを取り出そうとした、でも…

「あれ!?スマホがない!他の荷物も!」

僕は何処かに荷物を全て置いて きたらしい

「ああ…もうこれ確実に遭難じゃん…」

[死]と言う嫌な文字が浮かび上がったが、首をブンブン震いその事を忘れた

「ん?」

首を震い、回りを見渡したからか…ひとつの建物らしき物を見つけた

「やった!もしかしたら人がいるかも!」

一筋の希望を胸に、僕は走り出した…それが最悪の結末を迎えることなども知らずに…

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