すみません!風邪を引いてしんどくてかけなかったのでこれで許してください!
明日復帰できるかもわからないので何卒、、、
最近、何もいいことがない、何か一つに没頭したり、楽しめるものがあれば、世界はもっと色とりどりになるのだろう。
(はぁ、、、今日も上司に怒られました、、、)
下を向きながらトボトボと歩いている男は本田菊という。
ごく普通の社会人でなんの取り柄もなく会社ではただただ仕事をこなすロボットのような人間だ。
何か一つでも夢中になることがあれば、そう思いながら下を向き歩く。
「きゃー!これまじやばいって!」
「うわぁ、、、抱きたい、、、女の私でも抱ける気がする!」
甲高い声がした方をふと見ると、スマホのカメラで何かを撮っている女子高生らしき2人組を見つけその2人が見ている方を向いてみた。
そこには、緑色の綺麗な目に、鮮やかな金髪、腕で頭を半分以上覆っているがその隙間から見える緑色の瞳と、赤く火照った顔、かすかに開いた口、菊はそれに衝撃を受けた。
足の裏が地面に固定されたかのように固まって動けなくなった。
「綺麗、、、」
その時、菊の心は打たれたような気がした。
なぜだが心臓がうるさくドクドクと高鳴っている、何か運命的な出会いをした気分だ。
ただのリップのポスターだがこのポスターの前で止まっていては変な人だと思われるかと思った菊はかけていた眼鏡を触り足早にそこを離れた、ただアーサー・カークラウンドという名前を覚えて。
菊は家に帰るとすぐパソコンを開き、ポスターで目にしたアーサー・カークラウンドという名前を打ち込んだ、するとたくさんの記事が出てきた。
菊は世情には疎かったのでアーサーのことを超有名俳優だとは知らなかった。
仕事詰めで疲れて死にかけていた菊の目に光が灯る。
(、、、!私の生きる希望は、、、!この人かもしれません、、、!)
そう希望を見出した菊は早速アーサーのことを調べ、モデルの他にもアイドルをやっていることを知った。
そして運がいいことに4ヶ月先のライブのチケットの抽選会をやっていたのだ。
(当たる気はしませんが、、、試してみる価値はあります、、、!)
そう思い、菊は早速応募し、必需品以外何も買っていないため、溜まりに溜まった貯金を使い、ありとあらゆる雑誌やポスターを買い集めた。
そして、みるみるうちに菊の部屋はアーサーだらけになっていった。
(ああ、、、こういうのを楽しいというんですね、、、)
壁や天井に貼り巡らせたアーサーの写真やポスターを眺めながらそう考える。
「気持ち悪いかもしれませんが、、、アーサーさんなら抱けるような気がします、、、なんて、、、」
男のアイドルを抱くなんて非現実的な話、叶うわけがないと思いベットに横たわる。
すると、いきなり携帯の通知がなった。
ヴー!
(?、携帯の通知、、、?最近何か買いましたっけ、、、?)
通知の内容が思い当たらない菊は何か詐欺とかそういうサイトに捕まってしまったのではないかと恐る恐る携帯を見る。
だがそこには予想していた通知よりずっと嬉しい通知だった。
なんと、約3ヶ月後のライブに当たったのだ。
「え!?嘘!」
菊は嬉しさのあまり自分でも驚くほどの大声を出した。
信じられない現実に涙が出そうになる。
(真面目に生きててよかった、、、!!)
菊は約3ヶ月後のライブに行くために今から色々準備をした。
初のライブ参戦で一体何をしたらいいのか何を持っていけばいいのか調べるのは大変だったがそうこうしているうちに月日は流れ、ついにライブ当日になった。
(あわわ、、、緊張します、、、)
大きな緊張を胸に抱いたままライブが開催される箱の中に入る。
そこは人が5000人ほど入れるステージで今日は満員らしい、さすが人気アイドル俳優と言ったところだ。
ペンライトを片手にライブの始まりを待つ、チラッと横を見てみると、もちろん女性が多いが男性もそれなりに多いことに気がつく。
やはりアーサーはあの容姿でヌード写真集も多いことからアーサーのことを抱きたいと思う男性ファンも多いのだ。
(まぁ、私もその部類ですが、、、)
そう考えているうちに急にスポットライトの電気が落ちる。
いよいよ始まるのだ。
パッとステージの真ん中に灯りがつき、1人の人影が見える。
そこからの盛り上がりは半端なく、約3時間のライブが颯爽と過ぎ去っていった。
ライブ後、なんとチケット販売時にはファンには内緒でこれからアーサーとの握手会があるという情報が知らされた。
観客はもちろん大歓喜、菊も嬉しかった。
だがそれと同時にアーサーに自分を見られる、こんな芋っぽいのがファンだとか嫌がられるのではないかといろんな思いが募った、だが実物のアーサーを近くで見たい、そんなことを考えているうちにいつのまにか周りに人はおらず、結局握手会の最後列になってしまった。
(はぁ、、、私ってバカ、、、これじゃあ、終電間に合うかどうかも怪しいです、、、)
午後の5時に終わりを告げたライブのあと、約6時間が経ち、おそらく走っても終電には追い付かない時間になった。
(どこかホテル取れますかね、、、)
そう思い携帯を取り出した時にスタッフの方に呼ばれた。
「次の方〜、あ、ラストですね」
「あ、はい」
ついに自分の順番が回ってきたと思い心臓の音が大きくなる。
白色のシーツをめくり中に入るとあのテレビの中に、雑誌の中に映っていたアーサーが目の前にいた。
「今日は来てくれてありがとうな!」
4999人に握手した後とは思えないほど疲れを感じさせない明るい笑顔と色気に菊は面食らい、話そうと思っていた内容を忘れてしまっていた。
「あ、えと、、、ライブ、、、よかったです、、、」
単純な言葉と歯切れの悪い喋り方しかできなくなり、菊はみるみるうちに顔が赤くなっていく。
(は、恥ずかしい、、、こんなありきたりな、、、)
そう思っている時、菊が前でぎゅっと組んでいた手をスッと取り
「ありがとう、、、!お兄さんみたいな素敵なファンに巡り会えて俺は幸せだ」
そう優しくニコッと笑った。
その時菊は少しやましいことを考えてしまいさらに顔が赤くなる。
そんな自分をアーサーに見られていることが尚更恥ずかしくて「ありがとうございました」というと走って出て行こうとした時、何もないところで転んでしまった。
ドシャっ!
「だ、大丈夫か!?」
(さ、、、最悪です、、、恥ずかしさのあまり急に走り出した挙句こけるとか、、、!)
ゆっくりと体を起こし、地面に座り込む、顔は熱いし目も熱かったおそらく半泣きになっているのだろう。
「いった、、、あれ、、、眼鏡、、、」
「ここにあるぜ」
そう隣から声がして横を向くと、アーサーの顔が近距離にあることに気がつく。
アーサーの手には菊の眼鏡が握られておりスッと菊の前に差し出した。
「ははっw、面白いな、お兄さん名前は?」
「ほ、本田菊です、、、」
「じゃあ本田さん、また来てくれよな!」
そう送り出され、菊はライブ会場を後にした。
推しの前でとんでもない恥を晒してしまったことに落ち込むが退場する時に渡された番号が書かれたチケットに目を落とす。
(へぇ、、、ライブ会場来場者限定、アーサーさんと個室で2人きりで話せる、、、一名様限定、、、ですか)
こんな確率の低いものに当たるほど運も良くないし、しかもあんな醜態を晒してしまった後なので会いたいけど会いたくないみたいな感覚になった。
そのあとは近くのホテルに一日宿泊し、家に帰った。
そしてしばらく経ったある日、またもや携帯に見覚えのない通知が来た。
菊はまさかと思い携帯をとる。
なんと、一名様限定のアーサーと2人きりで話せる抽選に当選してしまったのだ。
内心はとても嬉しかったがもう一度会うのが恥ずかしく、どう思われているのか不安になり行こうかどうかものすごく悩んでいた。
だが、こんなチャンスは2度とないと菊は行くことを決断した。
指定された場所につき、その大きな建物内に恐る恐る入る。
あらかじめ当選した画面に書かれていた部屋に行こうと2階に上がり1番奥の部屋のドアの取手に手をかけようとしたその時、勢いよくドアが開いた。
「うおっ」
「、、、!?」
するとそこには、完全にオフ状態のアーサーが立っていた。
「あれ?本田さん?」
「あ、アーサーさん、、、」
「アーサーさんってw俺のこといつもさん付けで呼んでるの?あ、それより、当選したのってもしかして本田さん?」
そう聞かれ菊は当選時に表示されていた画面を見せる。
「へぇ!運いいな!なかなか来ないからスタッフさんに聞きに行こうと思ってたところなんだよ、中入って」
そう言われ、菊は部屋の中に入り、端の方にある席にちょこんと座る。
するとアーサーはクスッと笑いながら菊に近づく。
「なんでそんな離れるんだよ、もっとこっち来たらいいのに」
「こ、これが適切な距離ですから、、、」
「はは!やっぱ本田さん面白い!」
菊は気づいていた。
出会い頭に本田さんと呼ばれた時からあの時のことをアーサーは覚えていると。
恥ずかしさのあまりこの場の空気になりたいとさえ思った。
椅子一個分を開け、アーサーと他愛もない話をした。
好きな食べ物、嫌いな食べ物、ついている職業、趣味、はじめましての人が自己紹介をするような内容だ。
だが次第に菊の気持ちも落ち着き、普通に話せるぐらいになった。
「そうだ、俺紅茶入れるの趣味だって言ったよな?よかったら飲んでみないか?」
(お、推し直々に入れてもらえる紅茶ですと、、、!?)
そう思い菊は飲みますと答える。
しばらくアーサーが紅茶を入れている間菊はやはり少しやましいことを考えてしまう。
(はぁ、、、このままホテルとか、、、行ってしまいたいです、、、きっと可愛いんでしょうね、アーサーさん、、、)
ベットの上に横たわるアーサーを想像して菊は少し頬が緩む。
(それに、アーサーさんの動作が一つ一つエロくてドギマギしてしまうのですが、、、!)
するとアーサーが近寄り
「へぇ、本田さんそんな感じんで笑うんだ」
いきなり耳元から声がして思わず飛び上がる。
そしてアーサーは菊の目の前に淹れたての紅茶を出す。
「熱いからゆっくり飲めよ」
「はい、、、!」
紅茶のカップに人差し指を回し、そっと持ち上げる、軽く匂いを嗅ぐとカップに口をつけた。
「あ、美味しいです、、、!」
「だろ?おかわりあるぜ」
その後も紅茶を飲む菊をアーサーはじっと見つめた。
「あ、あの、、、じっとみてどうされたんですか、、、?」
少し不思議に思った菊はアーサーに尋ねた。
「ん?いや、もう少しだなと思って」
「もう少し、、、?」
そう聞き返した途端、いきなり眠気が襲ってきた。
(なんでしょう、、、なんだか、、、すごく、、、、、、眠い、、、、、、)
「、、、、、、」
紅茶を飲んでしばらくしたあと、菊はなんと眠ってしまったのだ。
するとアーサーがゆっくり菊に手を伸ばし少し髪の毛を触る。
「さすが、即効性のある睡眠薬だな」
そうアーサーはつぶやき、菊の耳元で
「今日は来てくれてありがとう、菊」
数時間後、菊は目を覚ました。
(あら、、、ここは、、、)
ゆっくり起き上がると見覚えのない部屋、それに先ほどまで着ていたはずの服が脱がされ、かけていた眼鏡もなくなっていた。
(!?、どういうことですか!?)
そしてよくよく耳を澄ませてみると隣の部屋から水が滴り落ちる音がした。
誰かがシャワーを浴びているようだった。
何が起きているのかわからず混乱していたがとりあえず自分の心を落ち着かせる。
まず、菊は何者かによってホテルまで連れ込まれ、服を脱がされている、この状態で大体何が起きているのか理解ができ、菊は早くここから出なければと思った。
そして何かきるものがないか部屋中を探し回ったが、元々着ていた服もなく途方に暮れていた。
服がなくては外には出られないのでとりあえずベットに備え付けてあった掛け布団を頭から全身に被りどうやったら逃げられるかを考えた。
しばらく考えているうちに、シャワーの音がしなくなっていたことに気がつく。
(まずい、、、!相手の人が帰ってきてしまいます、、、!)
とりあえずすぐに逃げられるようにしようと玄関の近くまで行こうとしたその時、いきなり目の前のシャワー室のドアが開いた。
「菊、起きたのか」
出会い頭に下の名前を呼ばれ少し困惑する。
もしかして自分をホテルまで連れ込んだのはアーサーなのかと思い、ますます混乱する。
アーサーは菊の向かっていた方向が玄関だったことに気がつき、すぐさま菊の腕を掴み
「どこに行こうしていたんだ?」
圧をかけるような目線に少し体が強張る。
「あ、あの、、、」
菊の聞こうとしていたことがなんとなくわかったのかアーサーはニコッと笑い
「大丈夫だ、怖がらなくてもいいぞ」
と言いながら掴んだ菊の腕は離さず、ぐいっと引っ張りベットまで連れていく。
「あの、、、私、、、そろそろ帰ら、、、」
そう言いかけた時
「悪いようにはしない、気持ちよくしてやるから」
と言うと菊をベットに押し倒した。
「!?、な、、、!やめてください!」
必死に抵抗する菊だが、アーサーの手が全く振り払えないことに気がつく。
「!!、なんで、、、」
そう困惑している菊を見てアーサーは少し笑い
「菊はずいぶん華奢なんだな」
菊はそんなはずはないと考える、だってアーサーも自分と変わらない程の腕の細さで胸板も薄い。
なのになぜか振り払えない。
「俺こう見えて鍛えてるんでな、大男1人ぐらいなら相手できるぜ」
そんな情報はネットのどこにも載っておらずそんなことは知らなかった。
菊は必死に抵抗するが全く意味がなくアーサーにあっさり片手で両手を押さえつけられてしまった。
「俺菊の顔、初めて見た時タイプでさ、その後の握手会とかずっと顔真っ赤で泣きそうな顔してて、男相手に初めてグッときたぜ?」
アーサーはそういいながら菊の頬を触る。
だが菊はこんなことは認めたくなかった。
アーサーは世間では受けだと、抱きたい男No. 1のはずがなぜか立場が逆転してしまっていることに菊は許せなかった。
「そんな、、、アーサーさんは、、、」
「ん?あぁ、あれだろ?俺がそう言う系の写真ばっか撮ってるからそう思われてるかも知れねぇが」
そう言いつつアーサーは自分の履いているズボンのベルトを外す。
「俺、売ってんのはネコだけど本当はタチなんでな」
そうニヤッと笑い菊の唇に噛みついた。
コメント
5件
わ〜風邪引いたんですねぇ…ゆっくり休んでくださいね。んで…こういうお話めちゃ好きなんですぅ…!!
風邪お大事にです!無理は良くないですよ、ゆっくり休んでください🙇♀️
風邪大丈夫ですか?お大事に、 それと、今日もめちゃくちゃよかったです!最高でした!