コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
何百年ぶりだろうか。
この屋敷に再び、”主様”がいらっしゃったのは。
*
*
*
ちょうど夕食を食べ終わって、それぞれが普段通り仕事をこなしていたり、或いはサボっていたり。そんな時に、収集をかける声が聞こえた。
全員が食堂に集められる。
そこにはベリアンと見覚えのない女性と抱き抱えられた猫の姿がある。
「皆さん、此方のお方が主様です。 」
「そして僕は猫のムーっていいます!」
ベリアンの説明に付け加えるように、”喋る猫”は自分に関する簡単な説明をする。そして、それに習う様に主も簡単に自己紹介をした。
「ど…どうも、ゆいです。よろしくお願いします。」
ベリアンはにこりと笑いながら、その女性を”主様”と呼び執事達に紹介した。数名の執事を除き、ほとんどが初対面であったが、執事達の顔は何処か和やかであった。
「何百年ぶりだろうねぇ…♪
この屋敷に主様がいらっしゃるだなんて♪」
この屋敷の医者であるルカスは人差し指を口に当てて嬉しそうに微笑んだ。
「主様、これからよろしくお願いしますね。」
数名の執事達は、主様に挨拶を交わす。それに対し、ぎこちない笑みではあるが主も挨拶を返す。
一通り互いの自己紹介を終えると、ベリアンは再び主に紳士的に声をかける。
「もし何かご不満な点がございましたら、いつでも我々執事にお申し付けくださいね。」
「…ありがとう。」
ベリアンの親切心に感謝し、にこりと笑う主。
だが、その目は少し赤くなっていた。