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如縣 遼太
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最初の快勝から数日。第参期魔王討伐隊は、さらに魔王城の深部へと足を進めていた。周囲の景色は徐々に荒涼とした岩肌へと変わり、漂う空気も肌を刺すように冷たくなっていく。
「おいおい、なんか急に敵の雰囲気が変わってきたんじゃねえ?」
大河蹴介が、いつもの眩しい笑顔を浮かべながら、手元の武器を軽く回した。
「前のはハリセンとか持っててウケたけどさ、今回の奴らはちょっとマジすぎるっていうか。でも、俺の足なら楽勝だけどね!」
いつも通りのムードメーカー。その底抜けた明るさに、周囲の緊張感が少しだけ和らぐ。
「…まぁ、確かにね」
上埜瑠偉が、涼しげな目元を少しだけ細めた。彼の明晰な頭脳は、ここ数戦の敵の動きから、明らかな『質の変化』を感じ取っていた。
「個々の戦闘力が上がっているだけじゃない。僕たちの動きを事前に把握し、統率された動きで確実に追い詰めにきている。ただの力押しじゃないよ、これは」
「ふん、そんなの僕のデータには織り込み済みだし」
末田渉がメガネの位置を直しながら、ツンとした声で返す。
「敵がどれだけ強くなろうが、僕の計算式を狂わせることなんてできないよ。…まぁ、前衛がちゃんと指示通りに動いてくれればの話だけどね」
素直に「みんなが心配だ」と言えない渉の言葉に、隣にいた緒方晴翔がチッと舌打ちをした。
「は? 誰に向かって言ってんの、渉。お前に言われなくたって、僕のディフェンスは完璧だから。別に、お前を守るために走ってるわけじゃないし。ただ、僕の後ろを抜かれるのがプライベート的に許せないだけだから、勘違いしないでよね」
童顔の顔をぷいっと背ける晴翔だが、その手はしっかりと剣の柄を握りしめている。
「…まぁ、お前が後ろで生きてないと、僕の動きの効率が落ちるのも事実だけどさ」
ボソッと付け足したその言葉は、彼なりの最大級の信頼の裏返しだった。
「まぁまぁ、2人とも相変わらず仲が良いねぇ」
お人好しの檜村賢太が、のほほんとした笑顔で2人の間に割って入る。
「敵が強くなったなら、僕がもっとみんなを回復させるから大丈夫。はい、これ、新しい特製クッキー。ちょっとスパイス効かせて元気を出す仕様だよ」
「わーい! 賢太、サンキュー!」
石神秀都が、素の明るい笑顔でクッキーに飛びつく。
「お、これマジで美味い! 泰輝も食う?」
「お、いいね! エネルギー補給して、次の試合…じゃなくて次の戦いもホームラン打つわ!」
井上泰輝が、白球をポケットにしまいながら笑う。
「ふん。相変わらず緊張感がないね、お前らは」
綿部翅が、可愛い顔にいつもの普通の表情を浮かべてクッキーを齧る。
「でも、まぁ…確かに敵の刃の軌道が、前よりちょっと嫌なところを狙ってくるようにはなったかも。気のせいかもしれないけど」
「…いや、気のせいではないだろう」
最後に、長田零が静かに声を響かせた。完璧な容姿を持つ彼は、遠くの闇を見つめたまま、一切の隙のない構えを崩さない。
「敵の統率が取れ始めている。これまでにない、何らかの『意志』を感じる。全員、油断するな。俺たちの絆が試されるのは、ここからだ」
「おう!!」
笠原裕人が一発ギャグを披露して全員がまたドッと湧いたが、その歓声の裏で、頭がいい瑠偉、渉、勘のいい晴翔の3人は、肌を刺すような不気味な気配を確かに感じ取っていた。いつも通りの明るい掛け声。いつも通りの賑やかな仲間たち。
しかし、彼らの歩む道の先には、すでに目に見えない奇妙な影が、確実に伸び始めていたーー。
コメント
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ああ、読んだ読んだ!第3話、いい伏線の張り方してるね。 冒頭の賑やかな掛け合いでチームの団結を再確認させつつ、瑠偉・渉・晴翔の3人が感じ取ってる“違和感”がぞわっと来た。 特に「敵の統率が取れてる」「何らかの意志」って零の台詞、ここから物語が急加速する予感がしてすごく好き。 明るい日常の裏に忍び寄る影、って構造が巧いなあ。次が楽しみ!