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ガチャ
楽屋の扉が開いて、慌てて視線をスマホから外した。
きむら「おはようございま…」
中に入ってきたのは明らかに顔色の悪い赤木。
元バンドマンのきむらバンドと?の後に
現幽霊の赤木です
って言わせてぇ…
いや…まぁそれはいいとして…
そんなクソつまらないとことを考えていて
ハッと我に返ると、俺は赤木の目の前にいた
体が先に動いていたんだ
きむら「…赤木、熱?」
額に手を当てる。
熱い。
親知らずで腫れている頬も明らかにいつも以上に浮腫んでいるというか…腫れている。
顔を見るとムッとした不貞腐れ顔だ。まるで顔がもうやめろと言っている。
嫌なことを無理やりはやりたくないので俺は手を離した。
きむら「なんで来たの?熱あるよね、休めよ」
少し強めで言ってみる。
グッと頬をつまむ。
するとボロボロと泣き出してしまった。
俺の手に涙が落ちる。
きむら「え、!な、何、ご、ごめんなさい…?!」
赤木「ごめん…なさい…でも…今日は…大切な日でしょ…、」
きむら「…大切な日…、?」
ごめん、俺、何も覚えていない。
俺は、赤木とコンビになれないかもしれないってことか…、?
俺が…
俺が悪い…、
ごめん…、
俺…
赤木「きむらさん、また自分のせいだって思ってるでしょ…、?」
きむら「…、!」
赤木「…やめてよ…自分を…責めなくていい…ですから…」
赤木「今日は…漫才…最後までやらせて…優勝したいから…きむらさんが…絶対優勝するぞって…言ってたから…、!」
仕方なくやらせることにした。
マネージャーには嘘をついた。
フラフラと歩く赤木をバレないように支えながら。
赤木がふわりと微笑んで「ありがとう」と言ってくれて、胸が締め付けられるような気持ちになった。
なんとか漫才が終わった。
舞台袖に降りるその時。
赤木が倒れた。
顔色がとてつもなく悪い。
息が弱々しくて、死んでしまいそうな虫の羽音のように。
慌てて抱き上げて、優勝なんか関係なく、自転車にも乗らずに病院に向かった。
赤木はまだ目覚めてくれない。
あの日から3日経つ。
赤木のいないうちに俺は【たくろう】として
あの大会で優勝した。
あのトロフィーは嬉しくない。
俺が嫌いだ。
なんで、
なんで、
なんで、
『自分を責めないでください。』
俺はその約束を一生守れない。