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余命365文字の一年

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余命365文字の一年

13 - 太宰治、命日。 ルート一。

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2023年10月31日

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十二月目。


「乱歩さん、来てくれたのですね。」

「…お前が今日死ぬからだよ、」

あぁ、私は矢張り今日_____


ーーーー

「乱歩さん、私の自殺癖についてはどう思います?」

「自殺するくらいなら僕と居て欲しい」

「じゃあ自殺は少し控えます。…代わりに、乱歩さんが私の事を殺してくださいね」

「、考えておく。」

ーーーー

一年と半年程前、乱歩さんと私が付き合って余り時間が経って居ない頃。

そんな約束?を交わした。

「……乱歩さん、…死ぬ前に、貴方が殺してくれませんか?」

「…は、?」

「死ぬなら、貴方の手で死ぬのがいいのです。…駄目ですか?ほら、この銃でやって下さいよ、」

懐に仕込んでいた銃を手渡し、酷く怯えて泣きそうな乱歩さんをあやす様に頬を撫でる。

銃を受け取った乱歩さんは、震えた手で安全装置を外し、私の心臓を貫く様、胸に当てる。

「…其れで良いんです、ほら、やって下さい」

「…っ、」

銃を持つ乱歩さんの両手を優しく包む。


___瞬間、大きく乾いた音を立てて銃が撃たれる。

震える手により急所から少しズレたようで、痛い。

でもそれが乱歩さんの手により齎された物だと思うと、痛み迄愛おしく思えてしまう。

「…太宰」

ぽた、と胸に何かが落ちる感覚。

乱歩さんが泣いている。

泣き声を抑え込む様にしているが、嗚咽が時偶漏れ出す。

ぼと、ぼと、ととめどなく涙が零れ落ちる。

意識が薄れる。

あぁ、やっとだ。

乱歩さんが、私を殺してくれたお陰で、一つも怖くない。

___嗚呼、そうか。

あの恐怖は、乱歩さん以外でどうにかしてしまうというのが怖かったのだ。

「……叶う物なら、最後にもう一度、」












「貴方に愛されたかった」



は、と言う乱歩さんの声が、ほんの少しだけ聞こえた気がした。

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