数メートル先に立って、こちらを振り返る北斗の所まで二人で走る。
追いつくと、彼の背中をパシッと叩いて微笑む。
『北斗だって結局待ってるじゃん』
そう言うと少し照れているのか、顔を赤くして「 うっせーな」と言った。
北斗可愛いな、なんて本人の前では絶対言えないけど。
「ふたりってお似合いだよね」
そんな私たちに対して翔太がそう言った。
『、、、』
その言葉に詰まる。そんなこと言われたくなかった。
だって、私は翔太の事が好きだから。
高校生になって同じクラスで一目惚れした。どうしても仲良くなりたくて、放課後、勇気をだして話しかけてみたらすごく優しくて、もっと好きになったんだ。
それから一緒に帰ることになった。そして、驚いたことにたまたま家が近かった。だから北斗にも言って、三人で登校することにした。
それなのに、私の気持ちも知らない翔太は平気で今みたいな事を言う。
確かに私たちは幼なじみで小さい頃からずっと一緒にいる。でも、好きな人にほかの男子とお似合いなんて、言われたくない。
「やばい、遅刻するかも」
ちょっと気まずくなってしまったのを察して、北斗が言った。
ちゃんと走って学校へ行ったが、遅刻なんてもちろんしなかった。むしろ教室には私たちだけだ。
「おい、北斗嘘ついたでだろ」
「別に、」
北斗は準備を済ませ、読書し始めた。
翔太は一番窓際で一番後ろの席に座って、ほっぺを膨らませながら、かばんから教室や筆記用具を取り出す。
なんか犬みたい、そう思いながら眺めていた。
「〇〇どうしたの?顔になんかついてる?」
『あ、いや、違うよ、!なんでもない!』
やばい、見すぎたかも。
恥ずかしくて、隣の席の北斗に話題を振った。
『北斗ってほんとに本好きだよね!』
「うん。あ、読む?」
本を持って、差し出してくる。
『で、でも、』
「いいよ、もう一冊あるし」
私の机の上に本を置き、別の本を読みだす。
置かれた本を手に取って、ページをめくると細かい字がぎっしりと詰まっている。読書が苦手な私には読めたもんじゃない。
だけど、貸してくれたんだから、と少し読んでみることにした。
コメント
8件
めっちゃ面白かった!!続きも楽しみ!
最高ォォォ!続き待ってる!
北斗は本が好きだよね〜😎 うちも好きだわw 最高!!つづき待ってる➰