「……ばな」
あれ、今、名前呼ばれた?
「立花?」
あ、本を読んでそのまま寝ちゃったんだっけ?
え、やばくない!?
「立花!」
『はい!!』
勢いよく体を起こした。そうすると、クラスで笑いが起こる。
「田村〜」
「はい」
「土屋〜」
「はい」
今はどうやら出席確認だったらしい。
「松村〜」
「はい」
北斗の名前が呼ばれた。返事をし終わった後、顔を見ると少し笑っていた。
『なんで起こしてくれなかったの?』
小さな声で言うと、おでこにデコピンされた。
『いった、』
「お前馬鹿だな」
やけに嬉しそうなのがムカつく。別に馬鹿じゃないし!
そして、チャイムが鳴り、それと同時にみんな席を立つ。一限目は理科、最初から移動教室とか疲れるな。
「〇〇行くぞ」
『うん!あ、翔太も、!』
「翔太なら別の奴らと行ったよ」
『そっか…』
〇〇は下を向いたまま教室を出た。
なんで悲しそうにするんだよ。なんであいつなの?
俺はずっと〇〇の事好きなのに。たぶん、この恋が報われることはないんだろうけど、
俺の事も見て欲しい。
理科室へ行くと、翔太は他の人たちと話していた。そこには女子生徒も数人いる。
やっぱ翔太はモテるんだ、
「ねぇ、〇〇」
『あ、なに?』
「こないだのノート見せてくんね?」
『別にいいけど、北斗がそういうの珍しくない?』
「ちょっと寝てた、わりぃ」
私が渡したノートを見ながら、自分のノートに書き写していく。北斗ならそんなことしなくても平気だと思うけど、
「はい、今日の授業はここまででーす」
授業が始まってから終わるまでの五十分間、長そうであっという間だ。
次の授業も、その次の授業も、
お昼になると、三人で机を合わせてご飯を食べる。
私は毎朝お母さんが作ってくれるお弁当、北斗は自分の手作りだというが、男子が作ったとは思えないくらいの出来栄えのお弁当で、翔太は購買で買ったパンに紙パックのカフェオレ。
みんなバラバラすぎて笑えてくる。
「転校生ってどんな子なのかな?」
「わかんないけど、女子らしいね」
『え?』
突然始まった二人の会話に手が止まる。転校生てなに?
『私、知らないんだけど…』
「だって〇〇寝てたもん」
あ、そういう事か、っていうのもおかしいけど、そんな話ししてたなら起こしてほしかった。
それより、女子なんだ、
少し心配、
『それって明日?』
「そう」
よりにもよって急すぎる、明日になんかなってほしくないよ。
女子なら絶対翔太の事好きになっちゃう、
だけど、そんな明日はすぐに来てしまった。
コメント
3件
最高ォォォ‼️しょっぴー惚れんなよ?な?((圧
転校生ねぇ…結構強そう!
うわ…転校生が女子とかやばいやつ… しょっぴー惚れんでね?🥺