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文化祭当日。
校舎は朝から、いつもより少しだけ浮き足立っていた。
飾りつけられた廊下。
焼きそばの匂い。
笑い声。
📢「高校最後か」
いるまがぽつりと呟いた。
その隣で、なつが腕を組む。
🍍「まだ終わってねえだろ」
📢「でも、最後だ」
いるまは笑って、なつの頬についたペンキを親指で拭こうとした
📢「……ついてる」
🍍「は? どこ」
📢「ここ」
顔、近い。
なつの耳が一瞬で赤くなる。
🍍「外だぞ」
📢「うん」
いるまは気にしない。
むしろ少し楽しそうだ。
📢「今日くらい、いいだろ」
“最後”の重み。
なつは視線を逸らしながら言う。
🍍「……離れんなよ」
📢「離れない」
即答
二年と一年合同のお化け屋敷は、予想以上に盛況だった。
モブ「きゃー!」
悲鳴が上がるたびに、こさめがびくっとする。
🍵「怖いの苦手なのに何でおどかし係入ったの‥?」
🦈「雰囲気好きなの!」
意味が分からない。
薄暗い廊下。
赤いライト。
俺とこさめは、裏方の交代時間で少しだけ外に出た。
校舎裏は、少し静か。
遠くから賑やかな音が聞こえる。
🦈「すちくん」
🍵「ん?」
こさめが、いつもより少し落ち着いた声で言う。
🦈「文化祭、楽しいね」
🍵「うん」
🦈「来年は、すちくん最後だね」
その言い方。
少しだけ寂しそう。
🍵「そうだね」
🦈「……その次は、卒業しちゃう」
胸が、きゅっとなる。
まだ先の話なのに。
こさめは視線を落とす。
🦈「こさめ、まだ一年だから」
指先が、俺の制服の裾をつまむ。
🦈「置いてかれるの、やだな」
甘い声じゃない。
わがままでもない。
ただの本音。
俺は少しだけ近づく。
🍵「まだ先でしょ」
🦈「でも、いるま先輩みたいに、“最後”って思う日が来る」
……弱い。
そういうの。
俺は、こさめの手をそっと握る。
驚いた顔。
でも、振りほどかない。
🍵「そのときまで、ちゃんと隣いる」
言ってから、少し照れる。
🍵「‥ずっといるから」
こさめが、ふっと笑う。
🦈「うん」
そして小さく。
🦈「好きになっちゃうよ、そんなこと言われたら」
時間が止まる。
心臓が跳ねる。
でも。
今はまだ。
俺は強く握りすぎないように、少しだけ力を込めた。
🍵「……なってもいいんだよ」
こさめが目を丸くする。
それから、顔を真っ赤にして俯いた。
触れそうで、まだ触れきらない距離。
その頃。
校舎三階の廊下。
LANは一人、展示の確認をしていた。
静かな横顔。
窓から差し込む光。
👑「会長」
振り返る。
みことが立っていた。
少しだけ緊張した顔で。
🌸「どうしたの」
👑「その……お疲れさまです」
LANは優しく笑う。
🌸「ありがとう。君も楽しんでる?」
👑「はい」
少し沈黙。
でも今日は、逃げたくなかった。
みことは小さく息を吸う。
👑「最後なんですよね、文化祭」
🌸「うん」
👑「どんな気持ちですか」
LANは窓の外を見る。
校庭のテント、笑い声。
🌸「少し寂しい。でも、嬉しいよ」
👑「嬉しい?」
🌸「ちゃんと終われるって、幸せだから」
その言葉が、胸に落ちる。
みことは思う。
この人のこういうところが、好きだ。
まだ“好き”と呼ぶには早いかもしれないけど。
確実に、特別だ。
🌸「来年は、君たちの番だね」
LANが言う。
みことは、勇気を出して一歩近づいた。
👑「……来年も、見に来てくれますか」
一瞬の沈黙。
それから。
🌸「うん」
柔らかい返事。
🌸「呼んでくれたら、来る」
胸が、熱くなる。
甘くて、少し切ない。
これがきっと、初恋の入口。
👑「それで‥あの」
👑「よ、よかったら一緒に回りませんかっ!」
🌸「‥いいよ、いこうか」
みことの顔がぱっと明るくなる
👑「あ、ありがとうございますっ」
🌸「それじゃあ・・どこから行く?」
夕方。
校庭に集まる生徒たち。
文化祭の終わりが近づく。
いるまはなつの肩を抱き寄せる。
📢「終わるな‥」
🍍「しみじみすんな」
でも、なつはそっといるまの制服を掴む。
🍍「……最後、ちゃんと一緒に回れてよかった」
いるまは少し驚いて、それから嬉しそうに笑った。
📢「来年も、迎えに来る」
🍍「受験生だろ」
📢「少しくらい抜ける」
なつは照れながら、でも素直に寄り添った。
最後だから、遠慮しない。
夕焼けの校庭。
俺とこさめは並んで座る。
🦈「終わっちゃったね」
🍵「‥ね」
でも、手はまだ繋いだまま。
離さない。
離したくない。
こさめが小さく言う。
🦈「今日ね」
🍵「ん?」
🦈「すちくんの隣、ちゃんと特等席だった」
胸が、ぎゅっとなる。
俺は、少しだけこさめのほうに寄る。
肩が触れる。
🍵「来年も、その次も」
小さく言う。
🍵「隣、空けてて」
こさめが笑う。
少し涙目で。
🦈「うん」
甘くて、少し切ない。
でも確かに温かい。
文化祭が終わっても、
この気持ちは、まだ終わらない。
むしろ――
これから、始まる。