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どんどん意識が薄れていく
体からあたたかさが流れ出してゆく
「は、はは…」
戦って、戦って、戦って。
邪眼と魔王武装を酷使した体はぽっかりと穴が開いていて、もう生きられないことがわかる。
アビスはほとんど消えて、戦いは、終わった。
女皇様たちはきっと、天理に勝てたんだろうなぁ…
「あぁ…たのしかった…なぁ…」
死ぬときは苦しむものだと思っていたけれど、案外優しい終わり方なんだなぁ…
あ、でも、一つだけ…
先生と、もっと、全力で戦いたかったなぁ…
「公子殿!」
意識が真っ暗になっていくなか、寂しがり屋のかみさまの、こいびとのしょうりせんせいの声が聞こえた気がした。
そうやって、俺は死んだはずだった。
「アヤちゃーん!」
「ああ、今行くよ!かあさん!」
俺は今、異世界の海でアヤックス・キィークとして息をしている。
記憶が戻ったのは3歳の頃だった。
海流に巻き込まれ、その先で大きな魔物に出会って、襲われた。
がむしゃらに本能のまま戦っていたら目の前に水の神の目が現れ、記憶が蘇った。
次の瞬間、呑星の鯨のようなものが現れ大きな鳴き声とともに俺を魔物の前から攫っていって、暗転。
次に目が覚めたときには家にいて、親が心配そうな顔で覗き込んでいた
俺はボロボロの状態で家の近くを漂っていたらしい。
食べ物を持ってくると泳ぎながら部屋をでていった母を見送り、神の目のことを考えると手の中に神の目が現れた。
やっぱり、気の所為じゃなかったと改めて自覚した。
というか、恥ずかしすぎる。
記憶の隅々まで思い出した。
つまり鍾離先生とのあんなコトやそんなコトまで思い出したわけで…
恥ずかしさでいつの間にか俺の意識は真っ暗になっていた。
と、そんなこともあったなと思い出す。
「アヤちゃん?馬車来ちゃうわよ?」
「ああ、今行くよ。」
15歳の俺は、ナイトレイブンカレッジに入学することになった。