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すべて妄想です。それでもよければ読んでくれると嬉しいです。
それは夜、月が綺麗に見えた日
ある男の魔族が傷だらけで人間に追いかけられていた
「待て!絶対逃さないぞ!」
「はぁ、…はぁ、…」
(…諦めの悪い奴らめ…!!)
男の魔族は走ってる内に運が悪く行き止まりに辿り着いてしまった。
飛んで逃げようと考えるも
(魔力切れだ……)
「もう逃げ場はないぞ」
騎士たちは男の魔族へと近づく
「…く、ここまでか…」
男の魔族へと剣が振り下ろされる
………ことはなかった
騎士たちの動きがピタリと止まったのだ
「な、…!?」
何があったのか分からず魔族は混乱の声を漏らす。
そして魔力探知が引っかかる。
茂みから一人の少女の姿をした魔族が出てきた。
膨大な魔力だ。少女の姿をしているのにも関わらず魔法使いであれば震えるだろう。
「自害なさい」
少女は目に光を宿さずに呟く
その瞬間
騎士たちは様々な方法で自害していった
呆然としていた魔族は少女の魔族に目をやる
すると目があった
「…ねぇ」
「な、なんでしょうか……」
男の魔族は突然声をかけられたため声が震えてしまった
「私はアウラ、あなた名前は?」
「…リュグナーです」
「そう。リュグナー私の配下にならない?いいえ、なりなさい」
「…何故私なんかを」
「さぁ?ただの気まぐれよ。」
アウラは意地悪そうに微笑む
「そうですか…」
(どうせ拒否権なんてない…大人しく従うか)
リュグナーは彼女が特別な魔法を使う魔族だと理解していた
七崩賢 断頭台のアウラ
彼女の二つ名だ
七崩賢は人類には理解できない魔法を使う魔族達のこと
リュグナーは七崩賢…というより天才が嫌いだった。もちろんそれを言葉に表すわけなかった。聞かれたら殺されるだろう。
魔法は年月をかけて探求を積み重ねて、より優れたものになる、はずが天才は時を越えて凌駕し続けてしまう。リュグナーにとっては七崩賢は天才で嫌悪感をもたらす人物たちであったのだ。
「………」
(この方だって才能があったからあんな魔法を使えるようになったのだ…)
それはリュグナーにとってどうあがいても超えられない壁でありどうしようもない事実だった
アウラの配下になってあっという間に数ヶ月がたった
今までの戦いではアウラの圧勝だった。アウラの魔力に勝てる者など数えられるほどしかいないだろう
今回の戦いもアウラの勝利だった
ふとリュグナーは思った
(…この魔力も生まれつきのものなのだろうか…)
天才だし生まれつきの魔力でもおかしくはないかとリュグナーは思い込んだ
そのまた数ヶ月の夜
アウラは戦い以外ではあまり顔を出さない
いつもどこかへ行ってしまう。魔力探知にも引っかからないためどこか遠くに行っているのだろう。
いつもは特になんとも思わず過ごしていた。別に自分には害のないことだし関係のないことだったからだ。しかし今日は違った。ちょっとした急用だ。
「アウラ様!!アウラ様!!…」
リュグナーは他の配下にも話しかけるもみんな揃いも揃って見かけないと答えた
「…一体どこに……?」
根城からかなり離れる
まさかこんなところにはいないだろうと思いながらリュグナーは探す
そんなとき
魔力探知に引っかかる
この魔力は
アウラのものだった
リュグナーは空中から地上に戻る
そしてその少し奥にアウラの姿が見える
見晴らしのいいところでアウラは座っていた。
今日は月がとてもきれいだとリュグナーは思った
そして同時にその月に照らされているアウラを………
「…こんなところまでなんの用?」
アウラは振り向きもせず言った
「…伝えたいことが、さっき魔王城から…」
「あぁ、さっき伝えられたわ。」
「そうですか、………」
「…もう下がっていいわよ」
「あの、…」
「………………」
「何をしておられるのですか?」
「…見て分からない?鍛錬よ。」
「鍛錬、ですか………」
「何よ、なんか悪い?」
アウラは後ろを振り向いてリュグナーの目を見つめていた
はっとリュグナーは目を逸らす
「いえ……別に」
「……」
「……」
無言の時間が暫く続く
やはり人の真似をし人の言葉を話す魔物ということだけある。魔族は人間ではない。やはり会話なんて魔族にはできないのだ。どうしてもこの会話は続かない。
魔族が人間のように正しく言葉を使うことなどこの先ないだろう。魔族にとって言葉を話すことは人間を狩るための一つの手段に過ぎない
「……」
(下がっていいって言ったのに下がらないなんて…馬鹿ね)
またアウラはリュグナーに背を向け特に深く考えず鍛錬を続けようとする
(…ふぁ…少し、眠くなってきたわね……流石にもう遅いかしら)
アウラは欠伸をしてどうしようか考える
するとリュグナーが口を開く
「…鍛錬していたんですね」
「失礼ね。しなかったら七崩賢になんて上がられないわよ」
「…生まれつきの才能だと思っていたので」
「…生まれつきの才能、…ね」
「………」
「あったらどれだけ楽だったことか…」
呟くアウラの姿はいつもの強気な姿はどこにもなくどこか遠くを見つめていた
「………」
誤解していたとリュグナーは思った
ちゃんと努力して得た力だった。
「…もう遅いです。戻りますよ」
「そ、じゃあ先帰ってて」
「アウラ様もですよ。他の配下が心配します。」
「しないわよ、別に。まぁ自分の居場所がなくなるから焦りはするかもしれないけど」
「…帰りますよ」
「……分かったわよ、その代わり」
諦めの悪い部下に心が折れたアウラはリュグナーをじっと見つめる。やはりその瞳に光など宿っていない。
「?」
「眠いから連れてって」
リュグナーと話している間アウラはずっと睡魔と戦っていたためもうほんとうに眠かった
「はぁ…仕方がないですね」
たまにめんどくさい…というより子供っぽいとこがあるよな…と思いながらリュグナーは承知する。もといい我儘はいつものことだったので大人しく従う
そのままアウラの方に近づいてお姫様抱っこをしだすリュグナー
「…………。」
「どうされました?」
「………もっといいやり方ないの?」
「人間はこんなことをするそうですよ」
自慢するようにリュグナー言う。人間のことについて他のどの配下よりも詳しかった。
「疲れて飛べなくなったと思われるじゃない!」
「いや、実際そうですよね?」
「………別に魔力切れじゃないし…?別に疲れてなんか…」ブツブツ
「そうでよね?」
正論を言われたためアウラは黙るしかなかった
「……ぐ……分かったわ、他の配下に見られないようにしなさいよね」
「我儘な方ですね…分かりましたよ、気をつけます」
「ならいいけど」
「というか飛行魔法で飛べますよね?」
「寝ながら飛行魔法を使えると思う?」
「寝るつもりなんですね」
空を飛んでると月が大きく見えた
今日はほんとうに月がよく見えるとリュグナーはあらためて思った
「あの…アウラ様」
「何?」
「いいえ、なんでもありません」
「さっきから何なのよ全く」
リュグナーはただ微笑む。
「(こいつ…笑うことできるのね…。)」
いつも無表情で何考えているか分からなく自分に嫌悪感を抱いていることしか知らなかったためそんなリュグナーに少しだけ驚く。
アウラは色々考えている内にリュグナーの体温の温かさを感じながらうとうとし始めていた
「(…一体いつまで付き合わされることか…)」
「スースースー」
ふとリュグナーはアウラを見る。居心地良さそうに眠りについているアウラの姿だった
「全く…ほんとにしょうがない方だ」
我儘で
自分勝手で
傲慢で
少しめんどくさくて
それでも
リュグナーは月明かりの下で鍛錬しているアウラを「美しい」と思った
「(…これからもこんな主を支えていきたい)」
リュグナーは無意識に思ったのだった
その日の夜
空には二人の魔族が月に照らされていた
ちなみに数百年後、苦労人になることをリュグナーはまだ知らない
☆おまけ☆
数百年後
「リュグナー様、あの人間たちを殺しに行っていいですか?」
「リュグナー様、おかし食べたい、あとりんご食べたい。」
「リュグナー、鍛錬するからついてきて頂戴。」
揃いも揃って3人はリュグナーに言う
「……………(あれ、…流石に疲れてきたかも)」
流石に疲れるリュグナーであった(頑張れリュグナー)
※この後リュグナーはリーニエはちゃんとりんごとおかし買ったしドラート殺されかけてるのを助けたしアウラの鍛錬にもちゃんと付きいました。
この話は夜寝るときぱっと思いついた話でした。リュグアウのつもりで書きましたがこの二人には恋愛感情なんてありません(多分)。なんなら魔族には仲間意識も低いですからね。きっとお互い死んだってなんとも思わないのでしょう。ただアウラがリュグナーの死にだけ反応したのが気になりましたが…
ところでこの二人の関係を少しだけ解説したいと思います
まず二人の関係ですが
リュグ(忠誠心以外の感情)→アウ(一応信頼してる)
という関係にしています。
無意識にアウラに対して忠誠心以外の他の感情を向けるリュグナーと気付かない,気付けないアウラという感じです。前奏の話になりますがアウラはリーニエとドラートがいるのにも関わらずリュグナーに対して我儘を言っているためなんやかんやでリュグナーのこと信頼してるのではと思い書きました
リュグナーは天才が嫌いと言っているのにも関わらずアウラに対して忠誠心があるのでやはりなんらかのきっかけがあったのではと思っています(今回のテーマはこのきっかけとなります)
公式でいつか情報が出るといいですね。出ない可能性の方が高いですが…
アウラ編では夜と月のイメージが強かってたので月明かりに照らされるアウラを見て〝美しい〟と思うリュグナーを入れました
久しぶりに話を書いたのでおかしいところもあったと思いますが最後まで見てくださりありがとうございました🙇