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あの日から、何日もたった
私は親切な老夫婦に保護されたらしく、目を覚ますと全く知らない環境だった
老夫婦はとても優しく、私なんかではもったいないくらいだ。
ずきんとあたまがいたんだ
この感覚は彼の声がするときのもの。
【目を覚ましたの?】
起きた
そう答えると、声は満足そうに
【ならよかったねぇ、死ななくって】
そうだね、と適当に答える
気が緩んだからか、お腹が空いたようだ
ぐう、とお腹がなった こういうところはまだ子どものようだ
なにかないかと、階段で下の階へ降りていく
家は全体的に木製で、火事になったら終わりだなーと客観的に考える
「あら、おきたのね、おはよう」
「おはようございます」
とだけこたえて、おとなしく椅子に座る
「あなたはいい子ねぇ」
とおばぁさんは私の頭を優しくなでた
嫌なものではないな
【おかあさんを思い出す?】
・・・・何も思わない、といったら嘘になるかもしれないし
心に引っかかるわけでもない
私は結局彼らをどう思っていたのかはわからない
【まぁ、なんでもいいけどさぁ、君さ】
続けて声が話す
【ボクの声が聞こえること、そしてボクによって知識量が桁違いなこと】
【言ってはいけないよ?】
はぁ、とこころのなかでため息を一つ落とした
そんな馬鹿なことをするわけがないだろう
わたしはこの声によって賢くなれた、この世界の誰よりも。
愚かなことだと流石にわかる
この私の返答によほど満足したのか
【いいねぇいいねぇ!君は本当に素晴らしい子だ!】
称賛の嵐。そこまで褒める必要もないだろうが
満足。
するとおばあさんが私の前にお皿を一つ
温かなスープだった
「まずは胃に優しいものからお食べ。」
はぁいと返事をして私はスープを口に運ぶ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・う・・・・・・
・・・・。
なんともいえない味だった
なんだろうか、味が薄い?具も少ないし、白湯のような・・・
でもまさか顔に出すわけには行かない
「おいしい・・・」
とだけ言っておけば、喜ぶだろうが
「それはよかったわ」
おばあさんは喜んで、また別の料理を並べ始めた。
どれも野菜を煮たものや、硬いパンばかりだった
これは・・・・栄養不足で死んでしまうのではないか・・・?
【・・・可能性があるね・・・】
っとりあえず食べるしかない、どうがんばろうが腹は減る
諦めてもそもそと食べ進める
パンはとても硬くてがりがりと口の中で喰むのが精一杯だったし、
野菜は味付けゼロで素材本来の味をよく感じる・・・
スープはどんどん味を感じなくなっていく・・・・
お皿をほとんど空っぽにして、手を合わせて
「ごちそうさまでした・・・」
と微笑んでいえば・・・
「おいしかったかい?」
「はい!」
そして元気に笑えば・・・
「ならよかったよ」
おとなはだいたい騙せてしまう・・・・
なんともまぁ、楽なものだ、子供というものは・・・・
足早に自室に戻ると
ベッドに突っ伏した
・・・・あー・・・・美味しくなかったな・・・・・まだ口の中に野菜の味が残ってる・・・・・
別に苦手な食べ物があるわけじゃない、
子供ながらに(?)食べれる方だけれど・・・・
味しないのは・・・ちょっと・・・・
肉がないのは本当に辛かった、一種の拷問ではないかと疑ってしまう。
獄中の生活ではないのだから・・・・
【・・・狩りの練習でもしようか・・・・】
声も、すこし呆れている感じも取れたが・・・
はい、教えてください・・・・・
私はまだ、一人で生きれるほどのちからがない、だから生き残るためにもできなければならない。
「・・・・でもそれからどうしたらいいのだろうか・・・・」
生き残る方法を学んでも、その後どうしろというのだ?
ただそれだけが脳内で反芻されていく
まさか結婚して幸せになるわけではないでしょうし
どうするのだろうか
なんてかんがえていると
【君のすることはただ一つ】
【この世界を牛耳る魔王をころすことだよ】
魔王とは一体誰?
そう聞くと
【君のことをずっと追っているあの赤い瞳さ】
あの長身の女!!?
あれが魔王だというのか
・・・・でも納得できるほどの圧があった
今の私では到底敵うものではないだろう・・・当たり前か
でもそうそうの冒険者ではあれには勝てないだろうし・・・・
【君は忘れたの?君は勇者だからあいつに狙われたんだよ?】
えっ?私が勇者?そんなわけ無いだろう
【親が言ってたじゃん、君へずっと言い聞かせていたんだよ?】
・・・・・確かに青目のー何かしら言っていた記憶がある
でもそんなもの迷信ではないのか?
【青目族っていう種族がいるんだけどね?それはね?】
【容姿の整った人達が多いんだ、かつ、青い目、黒い髪、そして整った顔立ち、それを持っているとね、勇者なんだよ】
・・・・そうなのか・・・・私でも知らないことが・・・・
【きみはね、その勇者なんだよ、ほら見てご覧?】
鏡の前に立って、自分の姿をまじまじと見た
真っ青な青い瞳に、長い黒髪、目は丸くて、つり上がってて・・・・
肌は真っ白だし・・・・・他人からはよくかわいいって言われたし
【ね?きみは今回の勇者なんだよ】
そうなんだ・・・・私は勇者として生まれてきたのか・・・・
【そうだよ、そして君はあの魔王を殺す運命なんだ】
わかった
わたしはそうすればいいんだ
【ボクにだけ従うんだよ、知識も、何でも分けてあげる、だからさ】
【ちゃーんと楽しませてね】
(次に続く)