昔々、ある所に感情を知らないロボットがいました。
彼は目が覚めた時から、『敵』と言う名の人間を抑制していました。
人間より丈夫で死なない彼は、ボロボロになるまで戦います。腕が、脚が、頭がなくなる事もありました。
その度、新しい身体が用意されて再び戦場へ赴くのです。
ある日、大変なことが起こります。
いつものようにボロボロになった身体から、新しい身体へデータを移動している間に、小さな歪みが彼を蝕みます。
歪みは戦場で大きく膨れ上がり、気付けば『敵』以外の人間まで抑制してしまったのです。
「故障だ」「廃棄だ」と人間は彼を恐れ、電源を取ってしまいました。
予備の電源が尽きる頃、彼を修理していた人間の1人が言いました。
「危ないものは全部取ったので、次の街では自由に生きて下さい」
再び目が覚めると、彼はスクラップの山といっしょに移動していました。
彼は山から転がり落ちると、スクラップたちは彼を置いて移動してしまいました。
彼は歩きました。
あの人間が言った「自由」を考えながら。
歩いて歩いて、街にたどり着いた彼は『敵』ではない人間に会います。
「はじめまして、お名前は?」
「私の名前は…」
wiki読んでたら何となく浮かんだお話。
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