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茉奈ちゃんは目をキラキラ輝かせて僕を“ジッ”と見つめていた。
恋する乙女の目をしていた。
「茉奈ちゃん、ゴメン…。僕にはっ‥」
「違います」
「だよね…」
「はい…」
そんな僕のくだらないボケにも上手くツッコミをいれられるようなユニークさも兼ね備えていた。
「茉奈ちゃん、前世の記憶って未だにあるの?」
「小学校を卒業した頃から徐々に記憶が曖昧になっていきました」
「良かったんじゃないのかな」
「きっとまた、生まれ変わる時には前世の記憶は戻って来ると思います。今までも何百回もそうしてきましたから」
「そっ‥そうなんだ…。それより今何の仕事してるの?」
「私…病院で看護師のお仕事をさせてもらってます」
「どうして看護師になろうと?」
「私小学1年の時、心臓病で病院に入院してたじゃないですか…。その時、看護師の人たちの働く姿を見て、ずっと憧れてきました。それに私の能力を使えば救えない命でも救えるかもしれません。だから私は看護師になろうと決心して、今こうして看護師になる事が出来ました。まだまだ半人前ですけど…」
「茉奈ちゃん、頑張ったんだね。本当に偉いよ」
「はるちゃんと葵お姉ちゃん、瑛太お兄ちゃん、それに、みなさんに救ってもらった命…大事に使わなきゃいけないと思いました」
「そうだね。あのさ…茉奈ちゃんに1つ聞きたい事があるんだけど…」
「遺体安置室で私に何が起きたのか? 黒いコート姿の人物は一体誰なのか? ですよね?」
茉奈ちゃんは僕の聞きたい事を言い当てた。
「どうしてわかったの?」
「これは私の能力の1つです」
「心を読めるの?」
「私には心を読む能力はありません。でも、能力を開放しておくと、相手の思いが強ければ強いほど私の中に、その思いが入ってくるんです」
「能力者の中に特別な存在、特殊能力者がいるって聞いた事があるけど、もしかして茉奈ちゃんが?」
「私もその部類に入るんだと思います。でも、私よりも圧倒的で格段に能力が上の人もいますよ」
「・・・・・」
「遺体安置室で私に命を吹き込んでくれたのも特殊能力者です。その時に何が起きていたのかはわかりませんが、物凄く眩しい光に包まれて、体の奥底から体全体に熱が広がり細胞1つ1つが蘇り活性化するのを感じました。そして目を開けると、黒いコート姿の人物がその場を立ち去ろうとしていたので呼び止めました」
「顔を見たの?」
「はい…」
「誰? 僕たちの知ってる人?」
「えっ…ま、まぁ…‥」
茉奈ちゃんは少しの間、何も言わず黙り込んでいた。
隠したい事があるようだ。