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やばい最高すぎて鼻血出てきた、あ、やばい鼻血出てとりま歩いてたら壁に頭打ち付けちゃった、色々と大惨事笑
またまた太宰女体化です。女体化地雷の人はほんとにすみません・・・女体化太宰が好きなんです・・・。
個人的には女だってこと意識しなければ普通に中太なので!最近「セフレ」という言葉(意味はセックスフレンド!恋人でもなく、ただsexするだけの関係!つまりは体だけの関係)を知ったので、早速書きます。
「相棒以上恋人未満、それが私たちの関係――」
ヨコハマの夜を切り裂くような静寂の中で、私は何度この言葉を頭の中で反芻しただろう。
シーツの擦れる音と、微かな煙草の残り香。隣で整った呼吸を刻んでいる男、中原中也。かつて「双黒」として一夜で敵組織を壊滅させた相棒は、今では数週間に一度、互いの予定が合った夜にだけ、私の身体を抱く「セフレ」という便利な役割を担っている。
私たちがこの歪な関係に足を踏み入れたのは、十八歳の頃だった。
当時、私はまだポートマフィアの幹部で、彼は私の優秀な「犬」であり、唯一無二のパートナーだった。女として生まれた私の身体を、彼は男として守り、私は彼の強大な重力を制御した。信頼、依存、執着。そんな言葉では言い表せないほど濃密な時間を共有していたけれど、私はそれ以上のものを求めていた。
中也のことが、好きだった。 羊の王として君臨していた彼がマフィアに引き入れられたあの時から、私は彼という存在に、どうしようもなく惹かれていたのだ。
けれど、私は太宰治だ。愛を囁くような柄ではないし、何より、彼に拒絶されて「相棒」という最後の絆まで失うことが何よりも恐ろしかった。
だから、十八歳のあの夜、任務明けの火照った身体で彼を誘った。 「ねえ中也、退屈しのぎに、私と面白いことしない?」 冗談めかした私の提案に、中也は酷く驚いた顔をしたが、結局のところ、彼も若かった。熱に浮かされるようにして始まった関係に、名前は付けなかった。
「……好きだよ」なんて、口が裂けても言わなかった。 彼にとって私が、都合のいい「女の相棒」であれば、この側にいられる。そう信じて。
それから私はマフィアを抜け、四年の空白を経て二十二歳で彼と再会した。 再会した夜、私たちはどちらからともなく、四年前の続きを始めた。まるで、止まっていた時間がその行為だけで動き出すと確信しているかのように。
二十五歳になった今でも、それは続いている。 仕事の合間に予定が合えば会い、一回やって、翌朝には「またね」と互いの戦場へ戻っていく。それだけの関係。
「……おい、太宰。痛くねぇか」
不意に、背後から伸ばされた中也の腕が私を引き寄せた。 行為の最中、彼は珍しく動きを止めた。いつもなら私の反応を面白がるように攻め立てるくせに、今日の彼はどこか慎重で、壊れ物を扱うような手つきをしていた。
「どうしたの、中也。らしくないじゃない」 私はわざと小馬鹿にしたように笑って、彼の首に腕を回した。 「そんなに手加減されたら、退屈で死んじゃうよ」
「……黙ってろ。お前、さっきから顔色が悪いだろ。無理してんじゃねぇのか」
中也の瞳は、どこまでも真っ直ぐに私を射抜いていた。 そう。本当は、最近少しだけ体調が優れなかった。過労か、あるいはこの関係に心が悲鳴を上げているせいか。彼にだけは見透かされたくない綻びを、彼はいつも簡単に見つけ出してしまう。
「ふふ、優しいね。でも、恋人でもないんだから、そんなこと気にしなくていいじゃん。私たちはただ、互いの身体を使い合ってるだけでしょ?」
突き放すような言葉。 それは彼に向けた言葉であると同時に、自分自身の心に言い聞かせるための楔だった。深入りしてはいけない。期待してはいけない。私たちは、ただの「セフレ」なのだから。
中也は、低く唸るような溜息をついた。 そして、私の頬を大きな手で包み込み、引き寄せる。
「……お前が俺のせいで傷ついてるのは、嫌なんだよ」
その声は、重力よりも重く私の心に響いた。 「恋人だろうが、そうじゃなかろうが、そんなのは関係ねぇ。俺が、俺のせいで、お前がボロボロになるのを見て見ぬふりできるわけねぇだろ」
「中也……」
「今日はもう寝ろ。蟹は、また今度食わせてやるからよ」
彼は私の額に軽く唇を落とすと、そのまま私を抱き枕のようにして固く抱きしめた。 その温もりが、あまりにも心地よくて、あまりにも残酷だった。
中也は優しい。 相棒として、そしてかつての情として、彼は私を「大切」にしてくれる。 けれど、その「大切」の中に、私が一番欲している「愛」があるのか、私には分からない。
彼は私のことをどう思っているのだろう。 ただの腐れ縁の女か。それとも、時々抱くのにちょうどいい元相棒か。
暗闇の中で、中也の心臓の音を聞きながら、私は胸の奥がキリキリと痛むのを感じた。 セフレになれたあの夜は、世界で一番幸せだと思った。中也の特別な場所に、どんな形であれ居場所ができたことが嬉しくてたまらなかった。
けれど、年を重ねるごとに、その「特別」の定義が私を苦しめる。 「またね」と言って別れるたび、私の欠片がひとつずつ削り取られていくような感覚。 隣にいるのに、世界で一番遠い場所にいるような孤独。
(……ねえ、中也。私は、あなたの何?)
問いかけは、喉の奥でせき止めた。 それを口にした瞬間、この温かな夜すらも消えてなくなってしまう気がしたから。
「相棒以上恋人未満」 その便利な言葉の裏側に、私はいつまで自分を隠し続けられるだろうか。
窓の外では、ヨコハマの夜が白み始めていた。 もうすぐ、いつもの「またね」の時間がやってくる。 私は彼の腕の中で、一度だけ強く目を閉じ、彼の頬に触れたい衝動を必死に抑え込んだ。
「……おやすみ、中也」
届かない独り言を、私は静かに闇に溶かした。
あれから数週間後、私たちはまた、ヨコハマの喧騒を逃れるようにして会員制ホテルの最上階にいた。
窓の外では、港を行き交う船の灯りが宝石を撒いたように煌めいている。けれど、贅を尽くしたこのスイートルームの空気は、不自然なほどに重く、沈んでいた。二十五歳になった私たちは、互いの予定をパズルのピースのように組み合わせ、数時間だけの空白を埋める。
「……何をぼーっとしてやがる。早く来いよ」
背後から届く、低く掠れた声。
振り返ると、ベッドの端に腰掛けた中也が、億劫そうに黒いネクタイを緩めていた。マフィアの幹部としての威厳と、男としての成熟。十八歳の頃の青さはもうどこにもない。逞しい肩のラインが、シャツ越しでもはっきりと分かる。
私は何も言わず、吸い寄せられるように彼のもとへと歩み寄った。
シャツのボタンを一つずつ外されるたび、肌に触れる指先から熱が伝わってくる。中也の手はいつも、私の冷えた体温を無理やり奪い、生の輪郭をなぞっていく。
「中也……」
「黙ってろ。……今日は、随分とおとなしいじゃねぇか、太宰」
中也は私の腰を強く抱き寄せ、シーツの上へと押し倒した。
幾度となく繰り返してきた、名前のない行為が始まる。重なり合う肌の摩擦、混じり合う吐息。互いの身体のどこを触れば、どんな声が漏れるか。私たちは、教科書の暗唱よりも正確にそれを理解していた。
行為が進むにつれ、部屋の温度は加速度的に高まっていく。
ふとした瞬間、中也が私の顔を覗き込んだ。彼の蒼い瞳が、至近距離で私を射抜く。
心臓が嫌な音を立てて跳ねた。彼の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
互いの吐息が、唇の上で一つに混じり合い、あと数ミリで触れ合う――。
けれど。
彼はそこで、ピタリと動きを止めた。
私も、彼を受け入れるために唇を開くことはしなかった。
視線が絡み合い、火花が散るような沈黙が流れる。
私たちは、決してキスをしない。
それが、十八歳のあの日から続く、この歪な関係を維持するための「最後の防衛線」だったからだ。
身体を重ねるのは、本能の解放だと言い訳ができる。相棒としての、戦友としての、極限のコミュニケーションの一環だと強弁できる。けれど、キスだけは違う。唇を重ね、互いの呼吸を分かち合う行為は、それそのものが「愛」の交歓を意味してしまう。
それは、恋人だけが許される聖域。
私たちは「相棒」という名の安住の地に留まるために、その聖域を侵すことを自分たちに禁じてきた。それを許してしまえば、私はもう、都合のいい女のフリをして笑うことができなくなるから。
(……ああ、やっぱり。苦しいな)
中也の瞳が、切なげに揺れた気がした。
彼は私の唇を親指でそっとなぞり、それから逃げるように顔を背けて、私の首筋に顔を埋めた。
その刹那、私の中でずっと張り詰めていた何かが、音を立てて千切れた。
「……っ、う……」
こらえきれなかった。
目元が熱くなり、大粒の涙が頬を伝って枕を濡らした。
「……おい? 太宰、どうした」
中也が慌てて身を起こす。私を覗き込む彼の顔は、酷く狼狽えていた。
「痛かったか? それとも、俺が何か……」
「……違う。違わないけど、違うよ、バカ中也……」
私は嗚咽を漏らしながら、彼の胸を叩くこともできず、ただ枕に顔を押し当てて泣きじゃくった。
二十五歳にもなって、元マフィアの幹部で、今は探偵社で飄々と死を語っている女が。セフレの前で、こんなにも無様に泣き喚くなんて。
けれど、もう限界だった。
中也の優しさが、その気遣いが、私を壊していく。
「お前が俺のせいで傷つくのは嫌だ」なんて、私を大切にするような言葉を吐きながら、肝心な一線を越えてくれないその誠実さが、今の私には何よりも残酷な暴力だった。
「もう……嫌なんだよ。こんなの……っ」
「太宰、落ち着け。何が嫌なんだ。言わなきゃ分かんねぇだろ」
中也が私の肩を強く掴む。その必死な声が、さらに私を追い詰める。
私は涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、彼を睨みつけた。
「全部だよ! キスもしないで、恋人のふりもしないで、ただ身体だけ重ねて、朝になれば他人……。そんなの、虚しいだけじゃん! 私は、私は……あんたが、好きなんだよ!」
叫んでいた。
心の一番奥底に隠していた、十八歳の頃からずっと、大切に、大切に腐らせてきた呪いのような告白。
「好きだよ。ずっと、ずっと好きだった……。羊の王様だったあんたがマフィアに来た時から、中也のことが。セフレになれた時は嬉しかった。あんたの隣にいられるなら、どんな形でもいい、どんな名前でもいいって思ってた……。でも、もう無理だよ。隣にいるのに、心がどこにもないみたいで……苦しくて、死にそうなんだよ!」
言い切った瞬間、部屋を重苦しい沈黙が支配した。
しまった、と思った。
これで終わりだ。この告白が、私たちの唯一の接点だった「相棒」という名の鎖さえも、粉々に断ち切ってしまう。明日から、私は中也を失うのだ。彼がもう、私を抱くことはないだろう。
私は恐怖に震え、目を閉じて、彼が部屋から去っていく音を待った。
けれど。
「……ハッ。ようやく言いやがったな、この糞鯖が」
聞こえてきたのは、突き放すような言葉ではなく、心底呆れたような、けれど慈しみに満ちた笑い声だった。
「……え?」
目を開けると、中也が片手で顔を覆い、肩を揺らしていた。
「お前がいつまで『相棒ごっこ』を続けるつもりかと思って、俺の方が先に限界が来るところだったんだぞ」
「……何、言って……」
「言わせんな、恥ずかしい。……いいか太宰。俺が、好きでもねぇ女と、七年もこんな面倒なこと続けるわけねぇだろ」
中也は私の頬に手を伸ばした。
今度は躊躇わなかった。
涙を指先で優しく拭い、そのまま私の後頭部を引き寄せる。
「俺もだ。お前が、ずっと好きだったよ。……十八の頃から、ずっとだ」
その言葉が終わるよりも早く、私の唇に熱いものが重なった。
待ち望んでいた、けれど決して手に入らないと思っていた、初めてのキス。
彼の唇は驚くほど柔らかく、けれど貪欲で。
肺の中の空気が全部入れ替わるような、深い、深い、魂を削り合うような接吻。
キスの最中、彼の頬に触れた私の指先は、確かに彼の体温を、鼓動を、愛を感じていた。
「……中也」
「言っとくが、もう後戻りはさせねぇぞ。朝になったら他人、なんてのは今日で終わりだ。明日からは、俺の女として扱ってやる」
中也は私の頬を、壊れ物を扱うように、けれど二度と離さないという強い意志を込めて包み込んだ。
先ほどまでの、どこか遠慮がちだった動きはもうない。
彼は私のすべてを、その重力で支配しようとしている。そして私は、その支配に身を任せることが、これほどまでに幸福であることを知った。
「……そんなこと言われたら、心中しそこなっちゃうじゃないか」
「当たり前だ。死なせねぇよ。お前のこれからの時間は、全部俺が管理してやる。文句あるか」
「……ないよ。全然、ない」
二十五歳の夜。
私たちはようやく、七年という長い歳月をかけて、相棒という安全で空虚な檻から飛び出した。
外の世界は、マフィアと探偵社という立場上、これまで以上に過酷で、ままならないことも多いかもしれない。
けれど、繋いだ手の熱だけは、もう離さないと確信できた。
翌朝。
差し込む朝日は、昨日までよりもずっと明るく、優しく世界を照らしていた。
隣で眠る中也の寝顔を見つめながら、私は彼の頬をそっとなぞった。
彼は微かに眉を寄せ、寝ぼけたまま私の手を握り返すと、それを自分の唇に押し当てた。
「……逃げんじゃねぇぞ、太宰」
「逃げないよ。……もう、どこにもいかない」
私は彼の胸に顔を埋め、幸福な重みに身を任せた。
窓の外には、今日も変わらないヨコハマの海が広がっている。けれど、私たちの心象風景は、あの日とは決定的に異なっていた。
相棒以上恋人未満、その関係はもうおしまい。