「それと・・・・」
医師が大きくため息をついた
「まだあるんですか?先生!」
拓哉が困惑の顔で詰め寄った
「ここからは婦人科のドクターに、バトンタッチしますので彼女から説明を受けてください」
ドアから中年の女性医師が出てきた、医師は眉をひそめる二人に顔をしかめて話をつづけた
「田辺鈴子さんの外傷状況をお伝えします。膣の中に約2センチの裂傷がありました、おそらくそこから出血がおこっていたもようです、縫合手術は体内に溶けるタイプの人口糸を使っていますので、抜糸の必要はありません。後は経過観察で良くなると思います。今は抗生物質の点滴と酸素吸入をおこなっています
しかし・・・私が気になっているのは、子宮口のあたりにも治りかけの無数の傷が・・・」
二人は凍り付いた
弘美が口を手で覆い倒れそうになるのを拓哉が支えた
女性の医師は今まで感情を交えない毅然とした口調だったが、この時ばかりは彼女は顔をしかめた
「大変申し上げにくのですが、櫻崎さん・・・あなたの妹さんは性的虐待を受けています。それもずいぶん前から」