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「鈴子」
囁く声
「鈴子」
また聞こえた
何度も名前を呼ぶ声が私を闇の中から引き戻そうとする。私は水面に向かって泳ぎ、最後の人蹴りで闇を突き抜けた
誰かが私を呼んでいるでも俊哉じゃないわよね、だってリンリンと呼ばないで、私の名前をよんでるんだもの
そっと目を開けると白いカーテンに覆われていた
ううん・・・・まって・・・ここは病院だ
薄暗い中でベットのライトが照らされている、今はどうやら夜の用だ
全身痛みは相変わらずだが少し体を動かした・・・でもあの激痛はなく鈍くズキズキする、なんだかとても硬い・・・
何か硬いものに体を覆われている
ここがどこだかわからないけど、ようやく目が頭に追いついたらしく、顔を横にしたら見知った、アーモンドの色の瞳が自分を見ていた
「に・・・ぃさん・・・」
「・・・目覚めたか・・・ 」
自分の息がぷんと臭う、いったいどれぐらい寝てたのだろう、私は鼻にしわをよせたがすぐに顔の激痛にみまわれた
とにかく喉が渇いていた
私はうめきながら起き上がろうとしたが、横から弘美さんに抑えられ口のよこから、吸い飲みの先端を差し込まれた
ありがたかった、私はごくごく水を飲み4回もお代わりした、辛抱強く弘美さんは水を飲ませてくれた
ほっと一息ついた途端顔の痛みが、あちこちから襲ってきた、口の中にしょっぱい味が広がり耐えられず私は嗚咽を漏らして泣いた
「ちくしょう!」
兄が歯を食いしばって言った
「今は夜中よ・・・・鈴子ちゃん・・・あんまり痛みがあるなら鎮痛剤をもらいましょうか? 」
苛立つ兄をなだめながら弘美さんが言った
「お前は背骨を折られてるんだ!脳震盪もおこしている!こんなに顔も腫れ上がってあの野郎にやられんだなっっ!!」
「拓哉!」
怒りを抑えられない兄を彼女がなだめた