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1章
─探偵の来訪─
「お嬢様方…旦那様が見当たりません…」
食堂から音が消えた。シストの言葉で青ざめていく。理解が出来ないわけではない。確かに先程は書斎に居なかった。けれど、事実となると言葉が上手く出てこない。最初に口を開いたのはモレックだった。
「えっと…どこかにお出かけされているとかでは?(- -;)」
「馬車はございます。護衛も全員います。」
「そんな…。」
タティアナもその一言を言うので精一杯だった。
「書斎、寝室、応接室、温室、庭園、倉庫。居そうなところを使用人と共に探し回りましたが、誰も旦那様の姿を見ていないとのことです。」
つまり、お父様は誰にも気付かれずに失踪した。そう考えるのが自然であり、それ以外思いつきようがなかった。私は席から立った。
「とりあえず部屋を見ませんか。何か手がかりがあるかもしれない。」
お父様の私室は、無駄のない落ち着きのある当主の部屋という雰囲気が漂うほど質素で美しい。
「もし、出かけるなら大荷物を持っていくわよね。」
「そうよね。お父様だもの。( `^´ )」
モレックが言った。部屋をよく見ると、ベッドシーツにシワがないし、衣類も綺麗に畳まれていた。完璧だった。なのに何かがおかしいと感じた。どこにも異常はないはずだ。すると、
「皆さん、机にメモ書きがあります。」
タティアナの指のさす方向に全員の視線が向く。机の中央にたった1枚の紙があった。まるで見つけてもらうのを期待していたかのように。そこに書かれていたのはたったの一言。
“しばらく留守にするよ”
これだけだった。モレックは驚いて、
「短すぎない?( ・ᯅ・ )」
「同感です。お父様ならこの紙三枚分は書くかと。」
タティアナも共感している。お父様は無駄に文章が長い。娘に心配をかけないためと思っているらしいが、逆に心配になってしまう。なのになぜ今回はたった一文を残して、姿を消したのだろうか。そして、よく見ると違和感がある。何かまでは分からないが、さっきからノイズのかかるような違和感を感じる。すると、扉の方から足音がした。
「ここであっていますか?」
凛とした、けれど可憐な女性の声だった。振り返るとすらりとした体の女の人がいた。身長はやや高く、鋭い瞳だった。年齢は20代前半あたりだろうか。落ち着いた雰囲気を纏っていた。するとモレックがシストに尋ねた。
「どちら様?どうせ貴方が呼んだのでしょ?(-v-)」
「ご明察。こちらは私(わたくし)の妹でございます。(*^^*)」
「はア?(´꒪⌓꒪)」
「正しくは探偵のカリーナでございます。一応、私の妹です。」
「初めまして。そしてよろしくお願いします。」
驚いた。なんせ、 数々の難事件に携わり、解決できないものはないことで知らない人はいない若手の名探偵だ。すると、カリーナは部屋を見渡した。
「兄から事情は聞きましたよ。旦那様が見当たらないのですよね。」
「そ…そうなんです。(>_<)」
そして、机にあるメモ書きを見て、
「そちらの紙を拝見しても良いですか?あとできれば、旦那様のノートか日記のようなものもお願いしても?( . .)“」
「承知しました。m(_ _)m」
クラウディナが、たくさんのお父様のノートを持ってきた。カリーナはすぐに見比べた。その様子をモレックは警戒しており、
「急に来て、何か分かりましたか?(¬_¬ )」
と不機嫌そうに言った。すると、カリーナはこう言った。
「えぇ。単刀直入に言いますと、こちらのメモ書きは、旦那様ご自身が書いたものではありません。」
カリーナさんは紙をそっと机に置いた。
「似せているようですが別人です。」
「えっ?どうしてそう思ったの?( ⩌ὢ⩌ )」
モレックが食い気味に聞いた。するとカリーナは頷いた。
「私は少なくとも3つ違いが発見できました。1つ目は文章量の少なさ。こちらは、お嬢様方も気づかれていましたね?2つ目は文章の書き方。旦那様は、必ず日記でも敬語で書いています。なのに、こちらのメモ書きは敬語にしては遠いかと。そして3つ目は、筆圧の癖の違いです。旦那様は文字を書く際、最後の払いを強くする癖があります。なのに、こちらのメモ書きは、全体的に弱いです。以上の3つから、こちらは偽物と考えました。」
私はもう一度、メモ書きを見つめ直した。たしかにカリーナの言う通りだ。つまり、お父様の残した手紙ではない。
「要するに、誰かがこのメモ書きを書いて置いた…。」
タティアナが驚いた様子で言った。
「その可能性が高いかと思われます。」
カリーナは静かに答えた。そしてみんなの方へ振り向いた。
「これは、ただ単なる家出ではありません。事件です。」
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