テラーノベル
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颯ちゃんはきっとわかっている…私が困っていることを。それなのに
「二粒…噛めた?」
すごく楽しそうに聞いてくる。
噛んだら指まで噛んじゃうでしょ?
二粒とも舌の真ん中辺りに乗ったままで動かせなくて、唾液が出てくる。
小さく首を横に振ると
「じゃあ、二粒コロコロ舐めて…指も……」
無理だと訴えるべく、さらに首を横に振ると
「それじゃ…今度はリョウが食べさせて」
と指をゆっくりと引き抜き、チュッ……と音をたててその指を吸う。
そして
「あーん」
私の顔を食べてしまいそうな距離で口を開ける。
恥ずかしさと、殻を剥くのが面倒くさくなって、チー鱈を指で摘まみ颯ちゃんの口へポンと高速で放り込んだはずが、パクッ……と指ごと捕らえられる。
「…今のは…おかしいよね?ポンって入れたのに……」
私の抗議を無視した彼の舌が、指を丁寧に舐め始める。
彼の手は私の腰に回り二人の距離感はゼロだ。
目のやり場に困った私は……颯ちゃんの肩をじっと見つめた。
舐められる指をそっと引き抜こうとすると、痛くない程度に噛まれたりチューッと吸われて脱出不可能。
時折、彼の手が腰や背中を撫でる感覚と指に感じる甘い湿度に酔いが回りそうになる。
「颯…ちゃん……」
「ぅん?」
指を咥えたまま器用に返事をした彼の唇を見ながら
「手…颯ちゃんのおっきい手が…気持ちいい……」
そう伝えると指が解放され、彼の胸に引き寄せられた。
そして颯ちゃんは何も言わずに、ただ私の背中を撫でてくれる。
「これ好き…」
しばらくして伝えると
「いつでもどこでもしてやる」
「ふふっ……どこでもはダメでしょ?」
「どうして?」
「場所は考えるものじゃないの?」
「好きなもんは好き。場所を選ばず好きなんだからしょうがないよな?」
また自信満々に言われると、そうなのかな?って思うのは…もうすっかり彼のことを大好きだからだろう。
「リョウ…リョウが嫌じゃなかったら、今夜こうして寝るか?」
そう言って背中を撫でる颯ちゃんに
「颯ちゃん、腕が疲れちゃうよ?」
胸から顔を上げて言う。
思いの外…ピントが合わないほど近くに彼の顔がありドキッとするが、彼は顎を引き額同士をコツンと引っ付けた。
「リョウさ……」
近すぎて表情が読み取りにくいが、困ったような照れたような音色に聞き入る。
「少しは意識してくれる?俺、リョウのことが好きな男なわけ」
小さく頷くと、鼻先が触れ合う。
「好きなリョウを抱きしめて寝るって言ったら…背中を撫でる腕より…もっと他に心配することあるんだよ…今も………わかる?」
経験のない私は大量に読む本などからしか想像がつかないが…どういった類いのことを言われているか、何となく思い当たる。
どう答えていいのわからないけど、正直に伝えることしか私にはできない。
「えっと…ごめんね、颯ちゃん…私……想像とか予測以上のことは…無理なんだけど……何となく…どういう種類のことを言ってるかは…何となく……?」
颯ちゃんは、クスッと笑うと額をゴリゴリと擦り合わせて
「リョウのこと…リョウとキスもしたいし抱きたいと思うけど…ずっと一緒にいるんだから今日でなくていいと…頭と心ではわかっているし決めてる……体だけが理解してくれないけどな」
チュッ…チュッ……と鼻と頬にキスをして
「リョウが嫌がることは絶対にしないから……一晩中撫でるのも、いいぞ」
そう言い、再び私の背中を撫でた。
コメント
1件
ほんとに颯ちゃんの言葉はそうなのかなって思わせてくれる魔法の言葉🪄 なでなで好きって言えたり、わからないことを良子ちゃんらしく伝えたり。 颯ちゃんの体は正直だけど🤭なでなでしてもらいながら寝たら初めの感覚で気持ちよく眠れるかも☺️もっと大好きになってるよ💗