颯ちゃんは優しい。
私の嫌がることは絶対にしない。
それは、わかっている。
「リョウ…考え込むことないから。今日は抱かない、抱きしめるだけ……もちろんリョウがご希望なら今すぐにでも抱くが…」
そう言って背中を軽くポンポンと叩いた彼は
「明日、朝から仕事のリョウに無理させるつもりはない」
じゃれあう猫のように顔や頭を私に擦り付けてきた。
ふふっ……髪がくすぐったい……私の顔や首筋にいたずらするようにじゃれつき、時折リップ音をさせる颯ちゃんも、くすぐったさを感じる私もクスクス笑いながらバランスを崩し、ガタッ……とテーブルに足が当たったと思うと、そのまま二人一緒に倒れ込んだ。
「足、大丈夫か?」
咄嗟に私の頭を抱えて覆い被さってきたのであろう颯ちゃんは、髪を撫でながらテーブルに当たった私の足を見るように
「どこ?ここ?この辺?」
と片手を伸ばし足を擦り始めた。
「大丈夫…何ともない」
すぐに答えたが颯ちゃんの手が止まる気配はない……と思ったとき、彼の手が太ももを撫で
「もう少し触れてもいい?」
そう言って……熱い視線に見下ろされた。
「…ぅ…ん……」
「リョウも触っていいから」
「……ぅん……」
頷いたものの、触れ方なんて知らない、わからない。
「そ…ちゃん……」
「…リョウ?」
彼は私の顔を挟むように両肘を着くと、髪や頭、頬を撫でる。
「颯ちゃん…」
「うん?」
「…私……触れ方も触れられ方もわからないから…颯ちゃん……変だと思うかもしれないけどね…私…ちゃんと好きだから……颯ちゃんのこと…ちゃんと好きだよ」
一瞬手の動きを止めた彼は、がぁーだか、わぁーだか、うぉーだか…定かでないおかしな声で唸ったあと私の額に唇を落とした。
そしてその唇は離さぬまま、くぐもった言葉を発する。
「可愛すぎる告白は反則…俺の理性や我慢を簡単に越えてくるのは…今夜は控えてくれ……あと…」
ペロッと私の額を舐めて顔を上げた颯ちゃんは
「変だと思うことは絶対にないから。リョウが俺に触れて、俺がリョウに触れて…どんなに感じようが、悶えようが喘ごうが絶叫しようが……引っ掻こうが噛みつこうが…どれも嬉しいだけ……変に思うなんてことはないと誓う」
そう言い私の目にキスをした。
そのまま彼の唇は顔中に落とされ、首筋にも…
「颯ちゃ…ん、嫌じゃないけど…その……舐めたりって気になるから…お風呂に入りたい…朝から仕事したままなんだもん」
「俺は気にならないが…風呂に入ればもっと舐めていいのか……今すぐ入れ」
「…ちょっと言い方……」
「うん?遠慮してもカッコつけても意味ないだろ?俺はリョウに触れたいんだから、な?」
颯ちゃんは私の背中に腕を回して起こすと
「風呂準備しろ。俺ここ片付ける」
そう言い、座っていたのを立たせてまでくれる。
返事のしようもないので無言で湯はりのスイッチを押し、ふと洗面台の鏡の自分と目が合った。
元々軽いメイクは颯ちゃんのカーディガンに擦り付けてしまったか、舐め取られたか…すっぴんに見える。
そしてアルコールで赤くなることのないはずの頬がとても赤く色づいているのを見ると、急に恥ずかしさを感じてトイレに駆け込んだ。
自分の部屋で逃げるようにトイレに駆け込むなんて、何やってるんだろう。
そっと部屋の中を窺うようにトイレのドアを開けると、キョロキョロしていた颯ちゃんがテレビのリモコンを見つけて手にした。
音を立てずに戻った部屋に湯はり完了の電子音が鳴ると
「リョウ、入れ」
「颯ちゃん、お先にどうぞ」
「髪乾かすだろ?だからリョウが先」
「でも…」
「一緒に入る?」
「いっ?…わた…わたくしが先にっ!…はい、いってきますっ」
颯ちゃんの笑い声に見送られてお風呂へ飛び込んだ。
ふーっ、びっくりしたよ。
コメント
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がぁーわぁーうぉー!そりゃあ唸っちゃうね〜😆無自覚良子ちゃんのスペシャル煽り告白💖 颯ちゃん全細胞を総動員して理性と闘おう〜(ノ*>▽<)ノ{ガンバレ~!! 良子ちゃんも色々と頑張って(๑و•̀Δ•́)و⚐⚑⚐♡ ˊ˗