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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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佐和水香さんにもすごくお世話になったので、俺はいくらかお金を包んできたのだけど、「千歳さんに、これから佐和家ともいい関係を築いていただければそれでいいので」と固辞されてしまった。深山さんたち三人に千歳と二人で改めてお礼を言い、斎野神社の管理者にもお礼を言って、いくらか包んで渡した。
後で千歳にこそっと言われた。
『悪いな、後でワシ払うな。気づかなくてすまん』
「いいよ、後で半分払ってくれれば」
バス停に向かったが、時刻表を見たらしばらくバスがなかったので、二人でぶらぶら駅まで歩くことにした。五月の風はさらっとして、外をのんびり歩くのにちょうどいい。
歩きながら、解呪してる間の話を千歳から聞いた。
『そんでさ、ワシ、深山さんと距離近くしなくちゃいけないから、深山さんに肉魚料理とおやつ作ってたんだけど、コンロが一口しかなくて大変だったんだ』
「ああ、それでフライパンでクッキー焼いたの」
『そうそう、オーブンもなかったから』
「けっこう大変だったんじゃん」
「んー、でも、いつもよりぐっと作る品数少なかったし、あとは深山さんの膝で組紐作ってればよかったし、時間の余裕はあったな」
『そうなんだ』
千歳は俺を見て、それから視線を少し下にやった。
『……そんでさ。時間あったから、割と考える時間あって……ワシ、これまで子供で、あんまりよくなかったなと思ったことがあってさ』
「うん? 何?」
千歳は、すこしためらうようにしてから言った。
『その、お前にその……これまで、ろくに礼言わなかったの、よくなかったなって……』
「え」
確かに、なんか俺にお礼言うの恥ずかしがってたけど。
「俺を祟ってるから、お礼言いたくないんじゃなかったの?」
『そうだけど、それはよくなかったなと思った。それとこれとは別で、お前になんかしてもらったら、お礼は言ったほうが大人だと思った』
「それは……まあ、そうだね」
何、千歳あったかくなっただけじゃなくて内面にも変化あったの? え、これじゃすぐ大人になって、早晩俺にくっつなくてもよくなっちゃうんじゃない? え、寂しい……。
千歳は、俺を見て言った。
『あのな、和泉。いつもいろいろありがとう。ワシ、やっぱりまだ子供だから、気が付かないところとか、うまくやれないところとか、たくさんあるんだけど、それでも優しくしてくれてありがとう、いろいろ教えてくれてありがとう』
俺は驚いた。え、こんな素直に、千歳が俺にお礼言う日が来るなんて……。
驚きすぎて口ごもっていると、千歳がまた言った。
『そんでさ、前に約束した、まだ聞いてもらってない三つ目のお願いなんだけどさ』
「え、うん、何?」
『ワシ、まだ子供だけどさ……子供だからダメなところたくさんあると思うけどさ……そういう時、これまでみたいに優しく教えて、助けてくれないかな……?』
え、確かに俺、千歳のフォロー結構してたけど。千歳はちゃんとそれに気づいて、それに感謝していて、これからもしてほしいって、わざわざお願いしてるってこと?
……なんか、すごく嬉しい。お礼言われたくてしてたわけじゃなかったけど、お礼言われて感謝されるのは、やっぱり、すごく嬉しい。
「やるよ」
即答が、自然と口から出た。
「俺に出来ることなら。千歳はさ、教わって変わりたいと思ってるわけでさ、そういう人に教えるの、すごくいいもん。やるよ、俺。出来る限りやる」
俺だって至らないところはたくさんあるけど、千歳のためなら出来るだけのことはやる。
『…………』
千歳はしばらく俺の顔をじっと見て、それから笑った。
『ありがとう』
コメント
1件
寺島あおいです、いつも読ませていただいてます🌷 今回のエピソード、千歳さんがちゃんとお礼を言ったのがすごく印象的でした。「大人だと思った」って、自分の行動を振り返ってそう言えるのって、本当に成長してる証拠ですよね。和泉くんの「やるよ」の即答も、迷いがなくて温かくて、思わずにっこりしちゃいました。三つ目のお願いが「助けてほしい」っていう素直な言葉だったのも、すごく良かったです。お互いを思い合う空気が、文章からひしひし伝わってきました。