クロたん視点の おまじない のこんこよ視点です。単体でも楽しめます。
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朝、目が覚めると、クロたんがいる。
それが当たり前で毎日の”朝”を感じるのに必要不可欠になってしまったのはいつからだろうか______
「ん…」
まだ朝日が顔を出していない時間、カーテンの隙間から見える空はまだ暗い。
少し肌寒くて、ボクより体温が少し高いクロたんに抱きつこうと思った。なのに、どれだけ手を伸ばしてもこよの隣にはなにもない。
まだ眠くてふわふわしていたはずの意識が驚くほど素早く起きて、瞼が開く。
手で感じたようにこよの隣はもぬけの殻で。
「クロたん…?どこ、いっちゃったの…?」
不安で不安で仕方ない。扉へ視線を移すと漏れる光に気がつく。
その先に彼女がいるのだろうか。そのまま引き込まれるかのようにこよはドアノブに手をかけた。
「…あれ?こんこよ。起こしちゃった?」
いつもと変わらずふにゃりと笑うクロたん。
ボクだけが、恋人のこよだけがみれるクロたんの優しい笑顔。
こよはクロたんのこの表情がいちばんすき。
「おきたらいなくて、」
「ごめんね、心配させちゃったかな」
そのままソファに座るクロたんの隣へ腰を下ろすと、抱き寄せられてよしよしと頭を撫でてくれる。嬉しくてもっと撫でて欲しくて耳はへにゃと垂れる。もっと、もっと撫でて。
「こよちゃんはあったかいねぇ」
「クロたんが冷たいんだよ〜、ベットもどろうよ」
「そうだね、明日はお休みだし2人で昼まで寝るぞ〜!」
クロたんの手を引いて、ひとつの布団へ潜る。クロたんは何もないように振る舞っているけれど、多分、怖い夢かなにかみたのだろう。
「クロたん」
「なーに?こんこよ」
「ずっとそばに居るからね。だから、クロたんも離れないでね」
クロたんがすき。ずっと隣にいたい。ライバルで親友で恋人で。クロたんの隣はずっとずっとこよがいいの。
揺れ動いたそのルビーのような瞳。それに映える大好きな銀色の髪にちゅ、とひとつ、お呪いをかけてしまった。
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