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「それでは、次にスキルを使ってみましょう。まず自分のスキルを確認するのです」
 スキルと聞いたちんすこうは、先程のステータスウィンドウのスキル版をすぐ頭の中に思い浮かべる。


「もうコツを掴んだのですね、でも念の為に教えておくと『スキルオープン! ちんすこうのスキルを表示』と言う事で表示させる事ができますわ」


 サーターアンダギーが説明する前に、既にちんすこうの前にはスキルウィンドウが浮かんでいた。MMORPGをプレイしていたからか、飲み込みが早い娘である。だがそこに書かれたスキルはたった一つだけだった。


『タックル』


「なにこれ! やらなきゃ意味無いの?」


 可憐な少女であるちんすこうにはあまりにも似つかわしくない攻撃的なスキルである。


「とりあえずそこに歩いてる通行人にタックル!」


 可憐な少女であるちんすこうは目に付いたNPCに対してスキルを試してみた。喰らった通行人Aはたまらずその場に倒れ伏す。


 カルマが1ポイント悪に傾いた!


「なっ、何をしているんですの!?」


 サーターアンダギーがごく当たり前に驚いた。


「ゲームに入ったらとりあえずNPCを攻撃しない?」


 可憐な少女であるちんすこうは、普通やるでしょと言わんばかりに首を傾げた。いや、それはない。


 実際、破壊的な行動を取ったり悪人プレイをする事を好むプレイヤーは過去のMMORPGにも少数ながら存在していた。だが、初めてプレイするゲームで右も左も分からないうちに明らかな攻撃スキルを善良なNPCに放つ人間は、いないとは言わないが非常に稀だ。


 ちんすこうはこの時点で全人類の上位1%にも満たない悪のエリートとなったのである。もはや可憐な少女ではない、悪の化身ちんすこうの誕生だ。ハッピーバースデイ!


「まあいいですわ、自由度の高さが売りだとお父様のマニュアルにも書いてあります。でも業が悪になると色々と不便ですわよ?」


 改めて、サーターアンダギーは説明を続ける。


「最初はクエストをこなしてレベルを上げるのですわ。簡単なお使いから、凶悪な宇宙怪獣を倒すクエストまで……」


「宇宙怪獣!」


 説明を遮って選択するちんすこう。宇宙怪獣という響きが気に入ったようで、目を輝かせている。


「ちんすこうさんはそういうのがお好きなのですね? では、宇宙怪獣マイコバクテリウム・オメガを倒して貰います」


「いきなりオメガ!?」


 オメガとはギリシア語で最後の文字である。ナンバリング代わりにアルファ・ベータ・ガンマ……と付けていくのが通例であり、オメガという名称はゲーム的に考えるとそのタイプで一番強い個体を指しているものと推測される。


「ご心配なく。オメガは末っ子ですわ」


 アルファは長男か長女らしい。子沢山な宇宙怪獣である。


「それで、そのマイコプラズマはどこにいるの?」


「マイコバクテリウム・オメガですわ。少し先にある村の外れに宇宙船が不時着して困っているのです」


 不時着して困っている宇宙怪獣を倒すクエストを出すゲームも大概に非道である。ちなみにマイコプラズマもマイコバクテリウムも細菌の名前なので大差はない。


「なるほど、その宇宙船を奪うんだね! ヒャッハー!」


 ヒャッハー! と言いながら走り出す十二歳。どこでそんな言葉を覚えたのだろうか?


 サーターアンダギーのナビに従い進むと、数分でいかにものどかな村が見えてきた。

帰ってきたスイーツガールズ!(えっ、どこから?)

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