続
時刻は飛んで、放課後となった。
緑矢がこちらへ向かってくるのがわかる。
zm「 尋ぉ〜!まだ部活とか入ってないやろ?一緒に帰ろうや! 」
sho「 ん!ええで、行こ 」
sho「 …? 」
…咄嗟にOKを出してしまったが、俺の自宅は用意されているのだろうか。無いなら、まさか野宿を…?
…いつの間に緑矢が歩き出していたため、急いでその背中についていく。こいつ歩くの速いな。
歩幅を合わせるようにして、確かに一歩ずつ進んでいく。6、7月にしては猛暑の中を、一歩ずつ。
おそらくだが気温は約27度前後。額に汗が浮かぶのも、無理はないだろう。
ふと緑矢の方へ視線を向ける。よく見ると尖った歯や、同じくらいの身長がやけに落ち着かない。
だって、初めての「人間の友達」、なんだ。
shoの心は躍っていることだろう。
zm「 な、俺のことzmって呼んでくれへん? 」
いきなり目の前に緑矢が飛び出す。汗ひとつ浮かばない緑矢は、どこか「高校生」を再度 感じさせた。
sho「 …!おう、zm!zmな!ええよ 」
「zm」とは、俗に言うあだ名である。
shoはクラスメートが緑矢のことをそう呼んでいたのを思い出した。
zm「 尋はあだ名あるん? 」
zmはshoを覗くようにして見つめた。あだ名で呼ぶことは友達としての第一歩。そんな考えが窺える。
そんな中で、shoは、どこかでzmとの心の距離が縮まっていくのを感じていた。
sho「 あだ名…んー、みんなからはshoって呼ばれてるで! 」
…ここで言うみんな、は、天界にいる神々のことを指す。「神陽 尋」はあくまで偽名であって shoにはshoという名前が付けられているのだ。
zm「 sho!今からそう呼ぶな! 」
太陽に負けじと輝くその笑顔。
知らぬうちに口角が上がっていることに気づいたのは内緒である。
どのくらい歩いたかはわからない。
しかし今日は暑い日だ。風のひとつでも吹けばいいものの、そこには乾いた夏しか存在していない。
shoも、人間に…zmに、同じことをしていたと思うと申し訳ないという気持ちが湧く。
ふと 視界に入るzmのスクールバック。
軽そうに見えるバックのチャック辺りから、ひとつのキーホルダーが顔を出すのがわかった。
よく見ると太陽をかたどったような形をしており、真ん中にはクロムイエローに近い色の宝石がはまっている。キーホルダーは光を受けて輝いていた。
sho「 … 」
見覚えが、ある。
俺はどこかで、見たのだ。この形の何かを。
sho「( …まさか、な… )」
何気なく、聞いてみることにした。
sho「 zm…このキーホルダーってどこで手に入れたん? 」
zm「 あー、これな。うちのじーちゃんがくれたんよ。なんか天の神様がどう〜みたいなで。 」
zm「 夏の間の豊作祈願とか、健康祈願とかあるんやって。 」
sho「 …へぇ。 」
冷や汗らしき水が背中を伝う。
__”天の神”。四季の神を指すのだろう。
sho「( もし、もしzmに気づかれたら… )」
sho「( zmが、俺が夏の神だと知ってしまったら…? )」
友達で、いてくれるのだろうか?
コメント
2件
続きありがとうございます!! 続き待ってます!!✨