テラーノベル
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「色とはなんだろうか」
私が見えているのは黒と白、、、
まぁ、無彩色と言われる色だ。
私はそれが嫌だった。
そりゃそうだ。色が分からないのだから。
非常に不便で、周りの子が羨ましかった。
紅葉狩りをしても夏と変わらない。
ただ、鼠色の葉っぱがあるだけだった。
子供が騒がしくなる夏祭りも
ただ、色の無い花が、思い出が
できるだけだった。
でも、いつか色が分かるようになるのだと
信じていた。
確証はさらさら無いというのに。
夕方は色について勉強
夜は外に色探しに行き
朝に寝る
そんな生活を繰り返していた。
ある日、家に帰ると
誰かが飲み物をこぼしていた。
かなりの量をこぼしたらしく、
玄関先まで流れていた。
興味が湧いた。
触ってみるとベトっとした。
どこかで嗅いだことのある
美味しそうな匂いだった。
、、、全てを思い出した。
なぜこんなところにいるのかも
眠っている人がどんな奴なのかも
そして
目の前の男が誰なのかも
いつもと変わらない紅い目で
じっと私をみていた。
私を探して助けに来てくれたんだね。
ありがとう。ごめんね、心配かけて
「お父さん、帰ろ!」
「、、、ああ」
久しぶりに繋いだお父さんの左手は
少し、、、いやかなり
END-2 「色が分からなかった子」
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