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れもんてぃ🍋
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窓の外から聞こえる鳥のさえずりと、カーテンの隙間から滑り込んできた強烈な陽光が、二人の深い眠りを切り裂いた。しのぶがゆっくりと瞼を持ち上げると、視界いっぱいに、見慣れた、けれど少し寝癖のついた金色の髪が広がっていた。昨夜は結局、二回戦のあとに倒れ込むようにして眠りにつき、一度も目を覚ますことなく朝を迎えたのだ。
「……ん、ぅ……」
体を動かそうとして、しのぶは自分がまだ童磨の腕の中に、まるで鎖で繋がれたかのようにしっかりと閉じ込められていることに気づく。昨夜は「繋がったまま」ではなかったが、彼の拘束力は眠っていても健在だった。
「童磨さん、起きてください。もうすっかり朝ですよ」
しのぶが彼の胸を小突くと、童磨は幸せそうに鼻を鳴らし、さらに顔をしのぶの首筋に擦り寄せた。
「……あと一万年だけ……しのぶちゃん成分を補給させて……」
「寝ぼけていないで起きてください。一万年も経ったら、二人とも骨も残りません」
しのぶが半ば強引に彼の腕を振り解いて起き上がると、背後に冷たい空気が触れ、昨夜の情事の名残である気怠さがどっと押し寄せてくる。ベッドの下には、昨夜脱ぎ捨てたままの服が無残に散らばっていた。
童磨は片目だけを開けて、ベッドに座るしのぶの、朝日に照らされた白磁のような背中をうっとりと眺めた。
「おはよう、しのぶちゃん。朝からそんなにキリッとして、本当に格好いいなぁ。でも、腰……大丈夫? 昨日は結構、僕が頑張っちゃったから」
「……誰のせいだと思っているんですか。今日はもう、一歩も外に出ませんからね。掃除も洗濯も、全部あなたの仕事です」
しのぶが冷ややかに言い放つと、童磨はパッと顔を輝かせて跳ね起きた。
「いいよ! しのぶちゃんのためなら、この家の全部をピカピカにしてみせるよ。その代わり、家事が終わったら……またご褒美、くれる?」
「……。早く、コーヒーを淹れてきてください。話はそれからです」
しのぶは呆れたように溜息をつき、彼が差し出してきたTシャツを頭から被った。それは童磨のサイズで、彼女にはあまりにも大きく、膝のあたりまで隠してしまう。
「あはは、やっぱり僕の服を着てるしのぶちゃんが一番可愛いよ!」
賑やかな朝の声が、シェアハウスの静寂を塗り替えていく。
昨夜の濃厚な熱は、いまや穏やかな日常の光に溶け込み、二人の間には、戦場では決して得られなかった「明日」という時間が、当たり前のように流れていた。