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📡💊 可愛くない恋人

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📡💊 可愛くない恋人

2 - 第2話

♥

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2024年07月31日

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ぐち逸。お前のこと好きなんだけど、付き合ってよ。


昨日、レダーさんに言われた言葉が頭の中に響く。

好き?はあ。付き合う?……はあ。


ずっと頭を抱えているが、あの人の考えることが何一つわからない。確かにレダーさんはこの街で1番仲の良い人と言えるかもしれない。が、それは交流が浅いこちらから見た話だ。

あの人はホットドッグ屋として顔が広く、868という仲間もいる。私も個人医としての信頼はあるだろう。しかし、恋人になるほど彼にとって特別親しい存在でも、自分が魅力的だとも思えなかった。

好きだと言われてから何故、どうしてと首を捻るばかりだ。仕事に支障が出ている訳では無いが、事件現場で救助する場合には集中しきれない可能性がある。……ああ、こんなことならその場で聞いとけば良かった!


ピコン


急患の通知が鳴った。

いけない、彼のことを考えてる暇はない。ましてや正気でなかった彼のことを。

バイクで爆走し患者の元に向かう。初めて見る顔だった。派手な1色の服を着ているあたり、どこかのギャングの人間だろう。


「大丈夫ですか。見たところ大丈夫ではなさそうですが」

「ありがとうございます!あはは……そうですよね。ちょっと事故っちゃいまして」


苦笑いして話す彼は人が良さそうだった。やっぱり運転には慣れないなぁ、と頭をかく。最近この街に来たのだろうか。


「あの、ぐち……いつさん?はじめまして、個人医さんですよね。良ければ連絡先いただけませんか?」

「あぁもちろんです。どうやらよく事故をしているようなので、怪我をしたらご連絡ください。 まあ、なるべくお世話にはならないように」


男は善処しますとまた苦笑いした。松葉杖を渡して軽く挨拶しその場を去る。

この街で個人医をしていると、初めて会う人を治療する時にかなりの割合で連絡先を求められる。やましい犯罪をしているから公務員である救急隊を頼れない分、いざとなった時に連絡がつく医者がいないと困るのだろう。


記憶喪失の状態で目が覚めて、残された電話番号をもとにレダーさんと会った時もそうだった。

初めは信用ならないと私の連絡先を受け取るのも躊躇っていたが、医者であることや薬の情報を持っていることを知ってからは何ならそこそこ連絡をとる協力関係になった。

始まりは仲良くなりたいとかではなく、互いの利害の一致だったのだ。


……そうか。

それはきっと今もだ。


レダーさんが私と恋人になりたい理由。


私を使うためだ。


多分レダーさんにまともな感性を求めてはならない(とても失礼であると自覚している)。恋人と立場を利用し関係を強固にすることで、修羅場でもない限り1人確実に個人医を味方に置ける。

そういう戦略か。考えたな。

ならばこちらも利用価値があるならば恋人になる選択肢もありだろうか。……結局私もまともな感性を持っていなさそうだ。


しかし、それもそうなのである。今続いている記憶の中で、誰かを好きになることは無かった。それどころか恋愛なんて思考の外だった。今だって恋とは何かよくわからない。

万が一にもレダーさんが本当に私のことが好きだから付き合いたい場合には、どこが好きなのか聞いてみるのは良いかもれない。

まぁいい、何にしろ恋人という関係が何かに使えるのなら。

彼に詳細を聞いてみよう。




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