テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#魔道具職人
こはる
834
こはる
461
#切ない
こはる
16
15
第30話
今日は休業五日目。あいつらに会う日。
サントラップ関係者五人で……面会っていうのかな? 日本には無かったけど、この世界にはそういう文化があるらしい。
「リナ。大丈夫?」
マリーさんが緊張で強張っていた私を撫でてくれた。
「はい。ありがとうございます」
……何も無いもん。相打ちだったんだから、恨みっこ無し……とは言わないかな。
「ノアも。大丈夫?」
マリーさんがそう、反対側に座っていたノアを見つめた。
「……大丈夫と言ったら嘘になります」
否、大丈夫じゃないと。
ノア……
赤い瞳は、私のあの時と似ていた。
魔力は、色々な気持ちで渦巻いている。
不安。怒り。恐れ。……沢山ネガティブな感情が見える。
魔力は嘘を吐か無い。
ニルスさんがノアが座ってる椅子の後ろで「大丈夫だ。経験は大事だが、いつまでも引きずるのは良くないぞ」と背中を揺すった。
「ありがとうございます」
そう言って顔を上げたのと同時に、心なしか少しいい方向に魔力が流れた気がしたけどそのまま魔力の流れが戻った。
「心の灯。その灯で、守りたい何かを見極めて、その手で掴んで離さない。貴方は、その手を離してないでしょ?」
「リナ……繋いだ先で傷つけた。守れなかった。守るべき人なのに……」
要するに、私の事を守ろうとした。危ないと感じさせてしまった。
……だから、許さない。自分は勿論、あいつらも。
また、反発する事は無いけれど、決して許せることではない。
「ノア。私たちのタッグは終わりなわけ? 終わりじゃないと思うのならば、前を向いて、私を見て歩いて。私もノアを見るから」
「……終わりじゃない」
そう聞こえるか聞こえないかの境界線くらいの声量で呟いた。
「じゃあ、背中を預けたわよ。私も、ノアの背中、守ってみせるから。そして、絶対に離さないから。この鼓動が止まっても、負けを認めないから」
ノアの赤い瞳は、忘れていた何かを取り戻せたように、光が灯った。
「隣に並んでくれる? というか、ノアに適任よ」
だから、私の事を支えて。
そして、その私が支えた貴方を支えて。
「あぁ。並んで、見る。俺もこの手で離さない」
その日の午後。
聖騎士に連れられて地下の牢獄に入った。
少し進むと、聖騎士は止まり、牢屋の中に入って椅子やら、机やらを準備し始めた。
毎回これを……凄い労力。
私たちは、案内されるがままに牢屋の中に作られた対談スペースみたいな空間に腰をかけた。
反対側に座った男たちは震えていた。私たちが怖いのだろう。
「この間はどうも。大丈夫ですよ。こっちから仕掛ける事はありません」
『上が誰だか聞き取りに来ました』
と、超遠回しに言ってみたけど、監視している人にすら伝わらないだろう。
「誠に勝手ながら、貴方たちの身分は調べさせていただきました。こちらで合っていますでしょうか?」
そう言いながら私が資料を一人一人に丁寧に渡すと、ガクガクしながら頷いた。
「それでです。どこのグループでしょうか? そして、なぜ私たちの店を狙ったのですか?」
カールさんが淡々と言葉を口にする。威圧感が凄い。
……こんなカールさん、見た事無いかも。
「指定されたんだ『サントラップ』という店を襲え、と。グループの名前も聞かされませんでした」
異世界ファンタジー闇バイト風か……いやいや、めっちゃ闇バイトだし。
「指示したやつの容姿は? どこで聞いたんです?」
マリーさんが前のめりになって聞いている。
……皆、直球だな……凄。圧もカールさん並かそれ以上、強い。マリーさんも、こんな姿見るなんて初めて。
「わ、分からない。手紙だ。名前も、顔も何を分からない。俺は、絶対に分からないぞ。手紙なら、保安局預けた」
男の一人がそう言った。
その男は一番最初に倒れたやつだった。ヒョロリとしてて筋肉質では無い。
「他の仲間は? 聞いた限り、一番下の役割ように聞こえます」
……捨て駒。
実行役ね。指示役。それと、黒幕。
「このような事件は、元凶を捕まえないと終わりがありません。だから、また来るかもしれません」
次に来るのはもっと強いのだろうけど。
「また……」
ノアがそう呟きながら震える拳を握っている。
「その可能性が……高いね」
私に手に追えなくなるくらい強くなるだろうから、一人でも対応はできるだろうけど……
「んで、貴方たちは強いと自覚はしてるんです?」
ニルスさんが片手でノアの拳に手を当てながら、二人と同じような威圧感を出していた。
わぁ、親子って似るもんだね……
私は、ここにきて初めてそう思えた。
「あぁ。負け知らずだったが……この小娘と、獣人がっ……」
みっともなくガタガタと震え始め、怯えている。
……何だ? こいつら。
私はため息交じりで腹を括った。
「ノアにしか言っていませんが……私、前の一生の記憶があるんです。それも、何百年か前の星霊の剣の持ち主の記憶と魂がね」
コメント
1件
うわっ、第31話めっちゃ熱かった…! リナがノアに「背中を預ける」って言ったシーン、ガチで鳥肌立ったわ。あの「鼓動が止まっても負けを認めない」って台詞、最高に痺れる。そして最後の前世の記憶の告白、え、ここで来るの!?って引き込まれた。カールさんやマリーさんの意外な威圧感も新鮮で、キャラの厚みが増してた。次どうなるのかマジで気になる🔥