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文也と藤子は怪しいクリニックの灰色のビルを、ゴクンッと唾を飲んで見上げていた
明洞でもひときわ怪しい界隈に、その4階建ての小さなクリニックビルは建っていた、細い路地にうずたかく積み上げられたごみの山には、不気味な虫がうごめいている
近くに食肉解体処理場があるらしく、血なまぐさい匂いが風に漂ってくる、辺り一帯が喧騒に包まれており、行きかう車のクラクションや爆音・・・どこかで喧嘩する、酔っ払いの罵声にまみれて、時折爆竹が破裂する音がする
見るからに怪しい・・・とても治安が悪くて、清潔とは言い難かった
「ここに入るの・・・?」
「う・・・うん・・・メンズ施術の予約サイトの口コミはここがランキング1位よ・・・」
二人はその怪しい建物の最上階のクリニックに向かうためにエレベーターに乗った、エレベーターのボタンはなぜかベトベトした
「本当に・・・ここで施術するの・・・?」
「うん・・・確かに外観を見た時は驚いたけど・・・見た目で物事を判断するの良くないわ、本当に予約が半年待ちなのは施術を受けたら納得すると思うわよ・・・と・・・とりあえず行ってみましょう」
クリニック内に足を踏み入れると、その優雅なしつらえに文也は少し安心した、クリニック内はなんだかまともな雰囲気がした
美しい壁紙で彩られた壁には中国風の絵画がかけられ、クラッシックのピアノが流れていた、藤子が受付を済ませてくれて、必要事項書類に何やら記入してくれている、その時奥のいくつもある施術室から、なにやら叫び声が聞こえた
緊張で手に汗がにじんできた、文也は藤子の手を握った
「ふ・・・藤子ちゃん!」
「だ・・・大丈夫よ・・きっと」
そこに日本語も話せると言う白衣を着た男性が、ここのクリニックの医院長だと二人に挨拶した
「ハイ、アナタノバアイネ、フィクショナリ―ハイフレーザー200パワート、アトハ、ポテンツァチュウシャネ、マスイナシノホウガ、ヨクキクネ、アナタオトコ、ガマンスル、ケンチャナヨ」
「ええ??藤子ちゃん!コイツ何て言ってんの?なんか不安でしかないんだけど?本当に大丈夫?」
文也が焦って言う
「た・・・多分」
ここへ来て藤子も不安そうだ、懸念しかない怪しいクリニックの医院長は、ハッハッハッと笑い、文也の首根っこを捕まえて施術室にズルズル引きずって行く
「ふっ!!藤子ちゃーーん(泣)」
「わっ!私も立ち会っていいですか?」
慌てて藤子が二人の後に続く、文也が医院長に手荒くドンッと突き飛ばされ、施術ベッドに寝かされた
「コレスコシイタイネ、ミンナアバレルカラ、ベルトデ、シバルネ」
そう言うと医院長は、ベッドに着いているシートベルトのようなものを文也に装着した
「ケンチャナヨ~♪ケンチャナヨ~♪」
「文也君、頑張って」
文也の横で藤子がファイティングポーズをする
「ひぃぃぃ~~!!」
大きなレーザーマシンがウィンウィンと起動する、医院長がマスクとゴーグルを装着する、ノズルの先にバチバチとレーザーの火花が散っている、焦げ臭い匂いが施術室に漂う
バチッバチッバチッ「ケンチャナヨ~♪ケンチャナヨ~♪」
医院長の顔と、火花を噴いたレーザーマシンが文也の顔にどんどん迫ってくる
「やめろーーーーーっっ」
突然文也が院長に叫んだ
「僕は敏感肌なんかじゃない!!いたって健康だ!!肌で悩んでいるなんて嘘なんだよっっ!!だから今すぐそのマシンを止めろ、でないとひどい目に合わすぞ!!」
ガシャンッとマシンを蹴り倒す
「Oh!!◎△$♪×¥●&%#?!怒怒怒」
医院長が何か怒って言ってる、一刻も早くこんな怪しいクリニックから退散したかった、文也は慌ててお腹に装着したベルトを外し弾かれたように、ベッドから起き上がった
息を荒げて藤子を見た
―しまった!!―
そう思った時は遅かった
「酷いわっ!!私に嘘をついていたのねっ!」
藤子は驚愕のまなざしで、文也を見て叫んだ
―え?僕さっき何て言った??―
「文也君なんか大嫌いっ!!」
そう言い残して、藤子は施術室から飛び出して行った
「ふっっ・・・!!藤子ちゃん!!待って!」
文也は慌てて藤子を追いかけようとした、その時ガシッと激怒した医院長に、またしても首根っこを掴まれた
「!◎△$♪×¥●&%#?!怒怒怒」
「何だよ!!放せよ!」
「○!※□◇#△!」
医院長が請求書を目の前に突き付けて、激怒して何か言っている
「わかったよ、施術は中止するけど金は払うよ、いくらだよ!」
慌てて言った、とにかくコイツをなんとかしないと
「怒!怒怒怒!怒怒怒!」
また医院長が怒鳴りながら掴みかかって来た
「いーから放せよっ!!ふじこちゃーーーーーーーーーん」
:・.。. .。.:・
めあ
43
2,001
#ネタバレ注意
るあ
2,673
#イケメン
蒼乃 月
828
コメント
1件
うわあ、第51話、めっちゃハラハラしました…!明洞の怪しいクリニックの描写が生々しくて、血なまぐさい匂いやベトベトのエレベーターボタンまで感じられました。医院長の「ケンチャナヨ~♪」が逆に怖すぎる(笑)。レーザーが迫る緊張感からの文也の「敏感肌なんかじゃない!」叫びには思わず声出しました。でもその瞬間、藤子ちゃんに嘘がバレて「大嫌い!!」って…ああ、これは後々響きそうな伏線ですね。続きが気になります!