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「あーなるほど」と頷く彼女は本当に可愛いなぁと改めて思った。俺が話す時頷いたり、表情をころころと変えて楽しそうに聞いてくれる、本当に…他にこんな“女性”(ひと)はいない。「んー、じゃあ私は茶色の扉の方行くからアリンは黒い扉の方見てきてもらってもいい?見つからなかったらお互い相手を追いかけるって事で」「そうだね、そうしよう」そうして俺たちは別れた。入ってみると本当に廊下になっていた。壁には2メートルの間隔で様々なテーマの絵画が飾られていて、1つ1つがただの作品ではないという感じの壮大な絵ばかりだ。そして、その廊下の幅は広くなく横3人が入るぐらいの大きさだ。そして見た感じ人の気配感じなかった。ずっと歩いていると壁に突き当たった。右に道があったので進むと奥に少し広い部屋らしき何かが見えてきた。俺は少し駆け足でその場に向かうと10人ぐらいの人がある絵を囲んで見ていた。俺も見ようと、絵の近くまで行った時何か耳鳴りがした。その耳鳴りは止む事なく耳の奥を劈く(つんざく)。それでも俺はやっとの思いでそれを見た。その絵には朝日が昇ってきそうな色の淡い紫に紺色の綺麗な夜空が描かれていた。そして、街並みが左下に描かれており、家の窓から覗く住人であろうその視線の先には見たことのある形をした何かがあった。タイトルは『1112355c.』だった。俺は?が頭の中に生まれ、そしてもう一度絵画を見るとそこにあったはずの何かが色を変えていた。すると、さっきよりも大きい耳鳴りが鳴り響き俺は気をその場で失ってしまった──────。


ここはどこだろう…

『アリーちゃん、今日も可愛いわねぇ』その声は、おばあちゃん?!

『えへへぇ、おばあちゃんありがと!』この声は…俺のだ。真っ暗闇の中で聞こえてくるのはおばあちゃんがまだ生きてた頃の記憶。

『でも、やっぱり首の傷が目立つわね…』

『大丈夫だよ!この傷は誇るべき傷なんでしょ?』

『そうね…でも、やっぱりこの傷を見て誰かが悪く言うかもしれないから髪を伸ばしたらどうかしら』

『えー!女の子っぽくて嫌だよ、でも隠さなきゃいけないんだよね…知ってるよ』

『…ごめんなさいね。あの時私が───していれば』

え…?今なんて言った…?何でこんな、大切であるはずの記憶が飛んで…?!うわぁぁあ!!


はぁ…あれ、ここは、

「アリン…アリン、ねえ…」この声は癒姫華…?

「あ…!」と俺は辺りを見回した。そこはさっきの絵画がある場所ではなく休憩所のようだった───。

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