テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私たちが次の国へと箒を進めていると、不意に後ろに乗るカレンの体が、淡い光となって透け始めているのに気づいた。
「カレン?……ねえ、体が光ってるわよ。どういうこと?」
「……どうやら、時間らしい」
「えっ!嘘でしょ?待って、どういうことなの!」
激しく動揺する私をよそに、カレンはどこか晴れやかな顔で笑った。
「私さ、実は1000歳をとっくに過ぎていたんだ。今まで黙っていてごめんな、セレン」
「……! なんで、私の名前を知っているの?」
一度も教えたことはなかったはずだ。カレンは困ったように眉を下げた。
「セレンの彼氏に、頼まれていたんだ。『もし彼女が絶望しても、また前を向いて歩けるように助けてやってくれ』ってさ。……私はここで終わりだけど、お前は前を向いて歩いていけよ。セレン」
「嫌よ!お願い、カレン、行かないで!」
必死に手を伸ばしたが、私の指先は光の粒をすり抜ける。カレンは自分の首から外したペンダントを私の手に握らせた。
「これ、私がずっと大切にしていたやつだ。……泣くなよ。私はずっとお前の近くにいる。毎日の日々が楽しかった。ありがとうセレン!」
その言葉を最後に、カレンの体は眩い光となって天へと舞い上がった。
二人乗りだった箒が、残酷なほどふわりと軽く浮き上がる。
「セレーーーン!!あぁぁぁぁ……っ!」
私の叫びは、夜の森に虚しく響くだけだった。
震える手で、もらったばかりのペンダントを開く。そこには、旅の途中でいつの間にか撮られていた、私とカレンが肩を並べて笑い合う写真が入っていた。
また、大切なものを失ってしまった。
私はこの不死身の呪いを背負い、たった一人で生きていく。
けれど、胸元で微かに熱を持つこのペンダントがある限り。カレンがくれた「前を向く理由」を抱きしめて、私の旅は続いていく。