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全国から実力者が集うeスポーツ強豪チーム「pomme」
アタッカーを担当する大森は、圧倒的なエイム力と判断力で世界ランク上位の実績を持つ。
どんな不利状況でも1人で試合をひっくり返すことから「バグ森」と呼ばれるが、実はチーム戦に強いこだわりがあり「1人で勝つのは美しくない」と語るストイックさも兼ね備えている。
対して最近入ったばかりの新人サポーター藤澤は、実は元音楽系ストリーマーであり、丁寧で正確な動きが評価され異例のプロデビューを果たした。「味方を落とさない」「予測回避の鬼」として、サポートに関してはチーム内最強。ただしメンタルがガラス製なので焦ると操作がガタつく。
一見交わらなそうなふたりであるが、なぜか大森がその新人にだけ溺愛攻撃を仕掛けてくる。
「……なあ、なんであの2人そんな距離近いの?」
「またお前だけって顔してたけど、大森が」
「というか大森、藤澤にあーんでエナドリ飲ませてたよな????」
控室での他メンバーのざわめきをよそに本人たちは真剣な表情で作戦ミーティング中──という名目で、サポート藤澤の後ろから大森が覆いかぶさるようにモニターを覗き込んでいる。
「ここ、操作遅れてる」
「ごめん……僕この場面になるといつも焦っちゃって……」
「じゃあ手出さないで。僕が操作する」
「え、ちょそれはダメだよ僕にやらせて」
「……涼ちゃん反応可愛いからからかいたくなる」
大森の低音が耳元に落ちて藤澤は真っ赤になる。
それを見た大森は満足げに微笑んで藤澤の頭をわしわし撫でる。
細い髪がぐしゃっとなっても、手を止める気配はない。
「でも……さ」
「涼ちゃんが俺の後ろに隠れて必死でついてこようとしてんの、めっちゃいい」
「……守りたくなるに決まってんだろ」
操作のときは常に背中を預けてる。誰よりも早く気づき、誰よりも近くでカバーする。
それは戦術を超えた感情の問題だ。
「涼ちゃんのことは勝敗より優先する」
「だから、もっと頼って」
ステージに上がる直前、藤澤はお守りみたいに大森の手を握る。その細い手首を大森がそっと掴んで、軽くキスを落とした。
「“スタート”は涼ちゃんがいなきゃ押せない」
コメント
3件
よきですね、可愛いです。この界隈の知識が無さすぎて用語の理解が追いつきませんが、可愛いことだけはわかります。脳がしあわせ☺️
うわっはぁ溺愛系だ!!なんでそんな繊細で儚げのある文が書けるのですか…