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うりはそこに立っていた。月光が彼を照らす。
「…。なんで…?」
「何か感じるんだ。……誰か動いて…る?」
うり壁に手を当て、目を閉じた。
「うりくん。…何か見えるの?分かるの?」
えとの声は震えていたが、うりは静かに首を振った。
「見えない。聴こえもしない。でも、音が…違う。人間ではない。足音が混ざってる。昨日にはなかった何かが…。あるんだ。」
えとはうりの横に静かに腰掛け、耳を澄ませる。
その瞬間、ペンダントが強く光った。視界が赤く染まり、空気が震える。えとの体は光に包まれた。
呼吸は荒くなり、耳が鋭くなる。
近くの足音。誰かの囁き。心臓の鼓動まで聴こえてくる。
(これが…“力”?)
うりが目を見開いた。
「今、何かが…!」
えとはうりの腕をつかみ、言葉を絞り出す。
「誰かが…。いる!隠れ…てる?
……。たっつん…?!」
うりが驚いたように顔を上げる。
階段の下、たっつんが壁に背を預けていた。
月光に照らされたその姿が、どこか不気味に光っている。
「フフ…やっぱ来たか。気配を消しても、えとには通じへんかったか…」
えとは一歩前に踏み出す。
「たっつん…。あなた、何者なの?」
たっつんは、不気味な声で言った。
「人狼?そんなの分かることじゃあらへん。でも、自分は人間ではない…かも知れへん。」
「この左目がうずくんや…。夜になると…。何かが目覚める気がしてな…。」
うりが身構える。
「何で、一人で…。僕らも…いるじゃないか…」
「……動かずにはいれへんねん。胸がざわついて、誰かを見たくなる。…試したくなるんや」
えとのペンダントが再び強く光った。
その光に照らされ、たっつんの影が見える。……。それは「獣」のようだった。
たっつんはその光に照らされた。そして、目を細めて言った。
「えとの中にも、何かおるんやな。ええやん…。もっと見せてみ?」
えとは言葉を返せずに、ただペンダントを握りしめた。