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「なあなあ、なんでお前らそんな仲良いん? ひかるって陰キャやし、暗いし、絡みにくいやんw」
教室の隅、休み時間。
モブ男子たちが軽いノリで言い放った。
多々光は一瞬、表情を止めた。
胸の奥に、ぐさりと棘が刺さった気がした。
――やっぱり、そう見えてんだな。俺。
言い返そうとは思わなかった。
慣れてる、と思った。
でも、うまく笑えなかった。
そんな空気をぶち壊すみたいに。
「……どういうこと?」
黒井が、真正面からモブたちを睨みつけた。
目が、鋭かった。
「ひかるのどこが陰キャなの?」
「……え、いや、別にマジに受け取らんでも……」
「ひかるは、優しいし、ツッコミ上手いし、光れる、写真撮るのも上手いし、色んな人と仲いいし、一緒にいるだけで楽しいし、歌もゲームもうまいし、つけ麺食べるときめっちゃ美味しそうに食べてて可愛いし、そもそもひかる陽キャだよ?」
「え、え、いや、そこまで言わなくても……」
「てか、ひかる暗くなくて、明るいじゃん。
それに、話しかけたら俺みたいな陰キャにも普通に返してくれるし。めちゃくちゃ優しいし。
あと、笑った顔がめっちゃかわいいんだよ。」
言ってるうちに、黒井の顔がちょっと熱くなってきた。
でも止まらなかった。
「何より、俺のことちゃんとわかってくれる。ひかる以上に大事なひと、いないし。」
モブたち、ドン引き。
「……え、え、ガチじゃん……」
「やべ、なんかごめん……」
バツが悪そうに、そそくさと逃げていった。
その場に残された光と黒井。
光は、真っ赤な顔をして俯いていた。
「……バカ。言いすぎだろ。」
ぽつりと、光がつぶやいた。
黒井は笑顔で、
「だってマジだから。」
と、あっさり言った。
――光の胸の奥の、さっき刺さった棘は。
もうどこにもなかった。
むしろ、今は。
心臓が、うるさくてたまらなかった。