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7 - 第7話 光は、ヒーローだった

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2025年05月02日

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光がまだ小学三年生だったころ――


彼は、クラスの人気者だった。


ちょっとドジで、でも優しくて、先生の真似をして笑わせたり、

ランドセルに光を灯して「てってれー!今日は宇宙から来ましたー!」なんて、変な自己紹介をするような子だった。


「ヒカルくんっておもしろーい!」

「なんか光ってるし!」

「ヒーローみたいー!」


その言葉が、嬉しかった。


誰かが笑ってくれるのが、嬉しかった。


ある日、学芸会の練習で体育館が使えず、教室で待機になった時。


光は言われた。


「ヒカルくん、あれやって!この前みたいに、キラキラ出すやつ!」


もちろんやった。窓際で、ちょっとだけ、光を手のひらに灯して。


でも、その日は違った。


もっと見たい! もっとすごいのが見たい!

そう言われて、光は――いつもより、ちょっとだけ強く光を出した。


……その瞬間だった。


「……あつっ!」


一番前にいた友達の男の子が、手を押さえてしゃがみ込んだ。


光は固まった。


小さな火傷だった。すぐに冷やして、傷は浅かった。


でも、その日から、周囲の目は変わった。


「あれって……能力、やばいよね」

「めっちゃ危ないよね……」


怖がられた。笑われなくなった。


光は、怖くなった。


「なんで……俺、ただみんなに笑ってほしかっただけなのに」


家に帰って、泣いた。


「こわい、もうやだ、使いたくない、やめたい……!」


その晩、父親が何も言わず、光の頭にそっと手を置いた。


「ごめんな、ヒカル。少しだけ、眠ってもらおう。君の光は、まだ強すぎる」


そして、光は夢を見た。


真っ白な世界で、自分だけが光っていた。


誰も近づけない。誰も笑ってくれない。


それから――光は、自分の能力のことを「ただの発光」と言うようになった。


面白いことも言わなくなった。ふざけるのもやめた。


「冷めてるね」って言われても、それでよかった。


あの日の光を、思い出さなくて済むなら。


けれど、どこか心の奥では、ずっと願っていた。


「もう一度、誰かの笑顔のために光れたらいいのに」

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