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#文芸アクション
大正
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「まったく、翠子のヤツ……いったいどういうつもりなんだ!」
思わず文句が口を突いた。朝から振り回されてうんざりだ。フルーツ食べるのに生クリームを付けたいなんて、どんだけ贅沢なんだ!
フルーツはそのものを味わって食べるべきだ。
大体この世は贅沢にできている。
そんな世界に生きているにも関わらず、僕なんか、なんど飢え死にしかかったことか。
今日、ご飯が食べられる有難みを、みんな忘れてしまっているんだ。
だからこそ、昨今問題となっているフードロスに貢献するためにも、今度のM&Aや企画はぜったいに成功させたい。日本の素晴らしい食文化を世界に届けるというフジノの企画――水島の素晴らしい発案のプロジェクトを僕もお手伝いという形で関わっている。
水島は相変わらず先生に会いにくる。
あいつはたぶん、先生のことを諦めていない。こんな張りぼてのおままごとみたいな結婚生活では、潤の言う通り、なにかのきっかけがあれば、すぐにかっさらわれてしまうだろう。
隙を見つけようと必死なんだ。
水島に取られて先生と別れてしまうのが先か、僕がそのまま先生とハッピーエンドを迎えることができるのか、それは…僕次第だ。だから最近、先生に積極的にアプローチしている。あれで正解なのかはまったくわからない。恐らく潤ならもっとうまくやっているのだろう。でも、僕はあれが限界だ。
好きな人に、好きだと告げることが、こんなにも難しいことなんて知らなかった。
翠子のお使いのために、マンションからいちばん近くのコンビニに入った。乳製品になるから、チーズなんかが置いてあるところにあるだろうと予想をつけた。すると、生クリームがほんとうに売っていた。
ウソだろ…。
昨今のコンビニはすごいな。なんでも置いてある。下着からトラベルセット、医薬品に――…綺麗に並べられた陳列品を見て、ピンと思いついた。
そうだ!
フードロス事業の販売先は、海外のコンビニだ!
なんでも売っているということに着目すれば、面白い商品ができる!
あっ。食品缶詰のガチャガチャとか、クレーンゲームとか、そういうのいいかも!
最近海外のコンビニで流行っているし、ゲーム感覚で商品ゲット、メイドインジャパンものを入手できるという点は大きい。くじ引きで当てるというのも、アリかもしれない。キャラクターものとコラボするのもアリだな。
俄然アイディアがわいてきたので、生クリームひとつだけ購入してマンションに戻った。翠子のおかげで新しいビジネス展望が浮かんだ。早速今日、水島にアポを取って企画を詰めよう。
フジノのコンペの日も近い。マルヨーにも向かって商品開発だ。今回の売り出しは、缶詰に決まりだ!
上機嫌で戻ると、部屋がピリピリした空気に包まれていた。
「生クリーム、売っていたよ。混ぜるね」
「あ、私がやるからいいよ」
佑里香先生は僕からふいっと目を反らし、無心にボールの生クリームを混ぜていた。
「食べたら帰りますわ」
なぜか機嫌のいい翠子。まさか先生になにかしたんじゃないだろうな…。
嫌味言ったとか。
「おかげさまですっかりよくなりましたの。ご覧の通り歩けますから、ひとりで帰りますわ。ごめんあそばせ」
先生が作った玉子焼きを含めた和食ご飯、僕が買ってきた生クリームを添えたフルーツを食べ、さっさと帰っていった。はー、いったいなんだったんだ、翠子は。
ああ、なにせよ、ようやく帰ってくれたのだ。これで平和が訪れる。
「先生、いろいろごめんね。大変だったでしょ」
「いいの。気にしないで」
あれ。なんか様子が変。
いつもの優しい感じじゃなくて、なんか、うまく言えないけれどもトゲトゲしている。
「先生、翠子になにか言われた?」
「別になにも。あ、今日はお弁当作る量が多いから、早めに行くね」
先生は目も合わせずにそそくさと出て行ってしまった。
え。
なに。
僕、なんかやらかした――?
「――というわけなんだ。潤、どう思う」
フジノへ送迎してくれるために来てくれた潤に早速相談してみた。車内に潤の唸り声が響く。
「うーん、翠子が奥さんになにか言ったんだろうな。それしかねえだろ」
「え”――。なに言ったんだろう」
「奥さんが様子がおかしい件については、直接本人に理由聞いた方がいいだろうな。今日帰ってきたら話してみたら?」
「そうだね。誤解があるなら解かなきゃ!」
「こういうのは早い方がいいぞ。抉れたまま放っておくと、取り返しがつかなくなる」
「わかった」
潤はいつも的確にアドバイスをくれるから助かる。
とりあえずフジノで朝いちばんにアポ取りミーティング。
さっき思いついたばかりのホヤホヤアイディアを練って、なんとしてもマルヨーを選んでもらわなきゃ!
TENGAでマルヨーの株をいっぱい買ったし。きちんと値上がりしてもらわなきゃ困る。
マルヨーは自社製品の作製に強い。缶詰を作るくらいわけないだろう。
フジノのミーティングが終わったら、マルヨーに直行だ。それに、この事業がうまく流れだしたら、恐らく水島もフジノの海外支社に戻るだろう。願ったりかなったりの展開になることを期待して、僕は全力で頑張る。
ライバルが海外に戻るなんて、最高だ!
そうそう会うこともできまい。
コメント
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第11話読み終わった!睦月の頭の中、ビジネスアイデアと恋愛がごちゃ混ぜになってて笑ったわw でも先生の様子が急に変わったとこ、めっちゃ気になる…!翠子が何言ったんだろう。潤のアドバイス通り早めに話し合ってほしいな。続きが待ち遠しい🔥