まだ俺が6つの頃。
今は顔も名前も覚えていない、大好きな彼と約束を交わした。
〝いつか、絶対に会おうね〟
幼いながらに、お互いが大切な存在だってことは理解していた。
今覚えているのは約束をした時の彼の優しい声だけで。
もう2度と叶わないとわかっていても、少しだけ夢を見てしまっている俺がいる。
自分が苦しくなるだけなのにね___。
朝目が覚めると、優しい涙が頬を伝う時がある。
なんの夢を見ていたかは分からない。
でも忘れちゃいけないような、大切な思い出のような。そんな夢だと思う。
ただ一つ覚えているのは、
〝大事な約束を交わしていた〟
っていうことくらい。
🍌「…また、か。」
そうやっていつも割り切ってるけど、
その夢を見た時は大抵一日中気持ちがさっぱりしない。
なんていうか…後味が悪い夢、かな…、。
自分が住んでいるのは東京。
中々に都会だ。
でもあの約束は、きっとこんな騒がしいところで結んだものじゃない。
もっと穏やかで…。
彼のような優しさを感じられる…、。
🍌「…ダメダメ、。準備しなきゃっ」
そう自分に喝を入れて、重たい腰をベッドから下ろす。
少し生きづらい今の世界に、少しでも何か存在価値や意義を見出すのであれば。それは俺にとってはあの夢の約束だろうか。
あの約束に少しでも希望を抱いていれば、なんでもやり過ごせる。
そんな気がしているのだから。
もう叶わない夢。
顔も名前も。何一つとして覚えていないけれど。
彼が自分にとってかけがえのない存在で、どうしようもないくらいに好きだったことは覚えている。
🍌「雪が優しく降り注ぐ……、。」
もう何回、何十回、何百回と。考えてきた。
いつもいつも。
最後に全く記憶のない〝文字〟を思い出す。
……あ。
俺は雪を見たことは数回しかない。
初めて見た時は彼と一緒にいた時。
その場所は…覚えてる、。
そう確信した瞬間、交通系ICカードとスマホを手に取り家を飛び出す。
彼に会えなくてもいい。
〝あの約束は、叶わないから。〟
それでも、あそこには行きたかった。
思い出せやしない彼との大切な思い出。
それでもきっと、その約束があれば……
そんなことだって乗り越えられるから___。
はくちゃんへ!
昔リクエストもらっていた短編です‼︎
数日後にOr side出します👍🏻
遅くなってごめんねぇ!
コメント
5件
なーちゃんありがとぉぉ!! 書いてくれたの嬉しすぎます!
忘れてしまう約束…、 うん、語彙力有りすぎん???← 続き楽しみです૮ . ̫ . ა❤︎