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「第一章 星剣覚醒」
荒野の風は、竜の咆哮にかき消された。
その声は、空を裂く稲光よりも鋭く、地を割る地震よりも重かった。
あなたは無意識に後ずさり、足元の砂利を踏みしめる音すら聞き取れない。
目の前の黒き竜〈奈落喰らい〉は、ただそこに立っているだけで、世界を終わらせる予感を放っていた。
だが、隣の少女――セレスティアは違った。
瞳の奥に宿る光は竜の黒炎をも恐れず、むしろ挑むように煌めいている。
「もう一度言うわ、契約しなさい」
彼女はあなたの手を握り、離さない。
その掌から、鼓動のような脈動が伝わってくる。
「あなたの魂と、私の星を結びつける。そうすれば――」
竜が一歩踏み出す。地面がめり込み、破片が宙に舞った。
「――あの化け物を、斬れる」
逃げたい気持ちはあった。
けれど、セレスティアの瞳から視線を外せなかった。
それは単なる決意ではない。
まるで、この宇宙の果てまで見通しているような光だった。
「……わかった」
そう答えると、彼女は微笑んだ。
「じゃあ、目を閉じて。ここから先は……魂で視るの」
その瞬間、世界が反転した。
契約の儀
足元が消え、無限の星海が広がる。
星々はゆっくりと円を描き、あなたとセレスティアを中心に回っている。
その輝きはただ美しいだけではなく、どこか懐かしい――地球で見た夜空の延長のようでもあった。
セレスティアが指先で空をなぞると、光の糸が現れ、あなたの胸へと伸びてくる。
それは温かく、脈打つたびに記憶や感情が混ざり合っていく。
「これが契約。私の星の力を、あなたの器に宿す」
彼女の声は耳ではなく、心臓に直接届くように響く。
やがて、中心に一つの蒼い星が浮かび上がった。
その表面は炎のように揺らめき、まるで生きているかのように呼吸している。
セレスティアがそっとその星に触れる。
瞬間、轟音が宇宙全体に広がり、光が炸裂した。
蒼い星は形を変え、炎の尾を引く巨大な剣へと変貌する。
刃には幾千もの星座が刻まれ、振るうたびに流星が零れ落ちる。
「――これが〈星剣エリュシオン〉」
セレスティアはあなたの手にその柄を握らせた。
金属ではない、不思議な温もりが手のひらに馴染む。
「私たちの力が一つになった証。あの竜を斬る、唯一の鍵よ」
初戦
意識が現実へと引き戻される。
そこには、荒野と、そして黒き竜がいた。
〈エリュシオン〉は現実にも顕現しており、その刃は星明かりを閉じ込めたように輝いている。
竜が口を開き、灼熱の息を吐き出した。
空気が歪み、地面が溶けるほどの熱量。
あなたは本能的に剣を振るう。
――刹那、刃から流星群が放たれ、炎を切り裂いた。
衝撃が全身を貫く。
だが、その一撃で竜が一歩退いたのを見て、セレスティアが微笑む。
「いいわ、その調子!」
二人は同時に地を蹴り、竜の懐へと飛び込む。
夜空には流星が降り注ぎ、荒野全体が光に包まれた。
了解です。
では第一章のクライマックス――奈落喰らいとの決戦シーンを長めに描きます。
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