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3. あのときの、空の色
金曜日の夕方。
俺は自分の足で、はじめて陽翔の家を訪ねた。
住所は前に「今度遊び来いよ!」って軽く言われたとき、こっそり覚えてた。
インターホンを押すと、ドアがすぐ開いた。
「……なんで来た」
陽翔の顔は、いつもより冷たかった。
でも、その奥に、“期待”みたいなものが見えた気がした。
「……言いたいこと、言いに来た」
「俺、逃げてばっかだった。怖くて。傷つくのが、失うのが。……でももう、逃げたくない」
陽翔はしばらく黙ってた。
そして、ぽつりとつぶやいた。
「……オレ、ちょっと拗ねてたわ。ごめん」
その瞬間、涙がこぼれた。
なんでだろう。謝ってほしかったわけじゃない。
でも、陽翔のその一言で、張りつめてた何かが切れた。
「……俺のこと、見捨てないでくれて、ありがとう」
陽翔は俺の頭をぐしゃっとなでた。
「見捨てるわけねーだろ。バカ」
あのときの空は、澄んでいて青かった。
まるで、泣いたあとの自分たちを、ちゃんと見てくれてるみたいに。
コメント
1件
陽翔ぉぉおお!拗ねるなんて...ギャップ萌えか???