ogt/執着
「ひ、あっ…」
閑静な部屋に広がる吐息混じりの喘ぎ声。まぐわいの相手はいつも尾形だった。だが、今日は違う──いや、今日からは違う。
「ふっ…ん、気持ち、いいですか?(なまえ)伍長殿…」
宇佐美は見事なまでに(なまえ)の感じやすい場所を突いてくる。気持ちいいのは気持ちいい。
だけど、やはり尾形じゃないことに悲しむ自分が心の隅に残っていた。そんな寂しさを抱えながらも──
「や、やっめ…うっぁぁっ、あ…っ、ぁ」
(なまえ)は宇佐美のテクニックに快感を感じ、胎内を震わせ宇佐美の一物をキツく締め付けた。
「あはっ…中イキしたんですか?」
びくりと反った腰を両手で掴んでいる宇佐美は目を丸くして笑っている。
(なまえ)が中イキ出来るのは宇佐美にとって、予想外の出来事だったのだろう。
「う、ぅるさぃっ…あっ、」
脳内で光が弾け飛び、意識が朦朧とする中、(なまえ)は強言を宇佐美に飛ばす。
宇佐美はそんな言葉など眼中にないのだろう。遠慮なく(なまえ)をガンガン攻めた。
*
今夜も宇佐美とすることになった。といっても、今度は宇佐美ではなく(なまえ)の方から誘った。
──…俺は…尾形のことが、まだ好きなんだな…
沈痛な表情を浮かばせ廊下に立ち止まる(なまえ)は、やはり好意を消し去ることが出来ない様子だった。
心につっかえるモヤは、どうすれば解消できるのだろうか。そんなことを苦々しく考える(なまえ)に、
「(なまえ)伍長殿…」
親しみのある声の持ち主が呼び掛けてきた。
光の籠っていない闇で包まれた黒い瞳に、白く透き通るような肌──
「お、がた?」
そう、避けてきたはずの尾形が声をかけてきたのだ──それも、怒りを込めた表情を浮かばせながら。
「最近呼ばれないと思ったら、(なまえ)伍長殿は他の男の物を咥え込んでいたんですね 」
強引に手を引かれ、近くの部屋に放り込まれた(なまえ)は、何が何だか分からずに呆然と尾形を見詰めている。
尾形は部屋の鍵を閉めると(なまえ) に近づき、軍袴を無理矢理脱がせた。
抵抗は勿論した。このままではまた元の関係に戻ってしまうと思ったから──でもそんな抵抗は意味もなく、結局は力に負けて脱がされてしまったのだ。
「や、やめろ、っ…ぐ、ぁっ、 」
尾形の胸に手を当て挿入を憚るも、尾形よりも力の弱い(なまえ)は最終的に尾形の物を無理矢理挿入されてしまう。
「い…っぃっ、、た…ぁっ…」
尻は痛いは、首は噛まれるはで全身が痛い──そして、心も。
こんな形でしたくはなかった。恋が実り、尾形も(なまえ)を好いた状態でしたかった。元はと言えば(なまえ)が悪い。それでも、こんな形ではしたくなかった──
夕刻を迎える頃に、やっと行為が終わった。
「ひっ、ぁっ、うッ…」
大量に出された尾形の白濁は、ゴポゴポと音を鳴らして秘部から溢れ出ている。
その様子を見て、尾形は告げる。
「これからは宇佐美を呼ぶのではなく、前と同じように俺を呼んでください」
──しかし、それは叶わなかった。何故ならば…(なまえ)が戦場で戦死してしまったから。
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