霧の中に漂う異能の残響。
戦場は混沌そのものとなり、激烈な異能のぶつかり合いが断続的に起こっていた。
定番組は、疲弊の極み。
末広鐵腸は呼吸を乱しながらも、刃を握り締める。
「まだ斬れる……まだ、ここで終われるか……」
しかし、その瞳の奥には、疲労と苦痛が滲んでいた。
有栖川は重い息をつきながらも、冷静に戦況を見渡す。
「みんな……限界を超えている。だが、私たちが負けたら、国家は崩壊する。」
乱歩はその場に立ち尽くし、薄く唇を噛む。
「推理は進んでいる。だが敵の異能は一枚も二枚も上手だ。手を変え品を変え、こちらを揺さぶる。」
ポオは顔を伏せ、精神を整えていた。
「精神を崩されたら終わりだ……だが、乱歩のためにも、ここで倒れるわけにはいかない。」
条野採菊は冷静に味方の状況を見守りながら、静かに呟く。
「このままでは……いけない。策を練らなければ。」
虚筆連盟は容赦なく攻撃を続ける。
エマニュエル・レヴィナスの倫理の声が空気を震わせ、精神を蝕む。
「己の存在を否定せよ。」
徳田秋聲の時層操作で、時間の感覚が狂い始める。
「今ここにいるのは誰だ?」
マックス・ウェーバーは組織の枠組みを操り、定番組の動きを制限する。
「秩序を破壊し、無力化するのだ。」
チャールズ・ディケンズの物語支配で空間が歪み、敵味方の境界が曖昧になる。
「君たちの終わりは物語の結末だ。」
そんな絶望の淵で、ふと小さな光が差し込んだ。
条野採菊が静かに立ち上がり、声を上げる。
「まだ、終わらせない。私は皆を信じる。」
乱歩がその声に反応する。
「彼女の言葉に救われる……まだ戦える。」
有栖川は仲間を見渡しながら、強い決意を持って叫んだ。
「みんな、もう一度立ち上がろう! 私たちの戦いは、まだ終わっていない!」
ポオも拳を握り締め、仲間たちの元へ駆け寄る。
「この戦いに勝つんだ。俺たちは負けない!」
疲れ果てた身体を奮い立たせ、定番組は心を一つにして立ち上がる。
乱歩の推理が一つの突破口を示し、
有栖川の判断が仲間の動きを整え、
条野採菊の鼓舞が皆の士気を高める。
絶望の淵から這い上がり、再び敵へと挑むその姿は、まるで夜明けの光のように鮮烈だった。
戦況は依然として厳しい。
しかし、そこには確かな希望の火種が灯ったのだった。
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