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荒れ狂う戦場。
破壊と混沌の渦中で、末広鐵腸は深い呼吸を繰り返していた。
「これ以上……負けるわけにはいかない。」
全身の疲労が骨身に染み渡る。
筋肉は悲鳴をあげ、視界は霞みかけている。
だが、彼の心は燃えていた。
「俺の刃は、悪を裁くためにある――それを、俺自身が証明しなければならない。」
握る刀の柄から力が湧き上がる。
異能「雪中梅」が、身体の隅々にまで浸透し始めるのを感じた。
「ここで終わらせる……完全覚醒、解放だ!」
刀身が、氷のように白く輝きを増す。
光速を超え、視認すら難しい速度で刀が伸び縮みし、空気を切り裂いていく。
敵の放つ刃や異能攻撃が、まるで虚像のように斬り捨てられた。
「悪の罰せられざるあり 善の賞せられざるあり 我が刃無くして 何ぞ四海の内に於て 百事の盡く權衡を得るを望むべけんや」
周囲の空気が震え、雪のような細かな切り裂きが幾重にも重なり合う。
その一撃一撃が、敵の防御を次々に崩し、虚筆連盟の陣形に亀裂を走らせる。
山田風太郎の影走による高速移動も、鐵腸の速度の前に無力化されつつあった。
「速すぎる……!」
山田は焦燥に駆られながらも、影を利用して逃げ延びる。
乱歩は鋭い眼差しで観察し、冷静に分析する。
「これが末広鐵腸の全力か……。彼の異能は単純に刃を伸縮させるだけではない。刀の形状を自在に変化させ、攻撃範囲も速度も、想像を超えている。」
有栖川も目を見開いた。
「異能の制御が完璧に研ぎ澄まされている……。これが本当の“覚醒”なのね。」
ポオは仲間の士気を上げるため、力強く叫んだ。
「みんな、今がチャンスだ! 鉄腸の刃に続け!」
末広鐵腸は斬撃の嵐の中、心の奥底で静かに誓った。
「俺の刀は、ただの武器じゃない。正義の証明だ。これが最後の戦いの刃――絶対に勝つ。」
刃は雪の結晶のように繊細かつ凶暴に敵を切り裂き、
まるで舞うように戦場を駆け巡った。
敵の虚筆連盟も焦り始め、攻撃の手を緩めざるを得なくなる。
「この男が覚醒するとは……!」
大佛次郎の影絵も動揺を隠せない。
戦況は徐々に、しかし確実に定番組側へと傾き始めた。
乱歩の推理と有栖川の指揮、仲間たちの連携が噛み合い、
末広鐵腸の覚醒が追い風となる。
「終わりは、俺たちの手で――」
彼らの戦いは、新たな幕開けを告げたのだった。