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花凜
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## 『特攻隊長は、爆モテ委員長に捕獲されました。』
#第9話:嘘つきたちの反撃
ドンッ!と背中が壁にぶつかる。
至近距離。視界のすべてを目黒の大きな体躯が塞いでいた。
手首を掴む目黒の手は驚くほど熱く、微かに震えている。数日間の冷徹な態度が嘘のように、剥き出しになった目黒の瞳が、佐久間を激しく射抜いていた。
「……何なんですか、それ」
低く、低く地を這うような目黒の声。怒っているようにも、泣き出しそうに耐えているようにも聞こえた。
「無視すんなって、寂しいって……そんなこと、俺を大嫌いなはずの先輩が言うわけないでしょ」
「目黒……」
「俺は、先輩が本当に俺のこと嫌いなんだって、もう分かったから他人に戻ろうとしたんです。なのに、なんで今更そんな顔してここに来るんですか」
目黒の切れ長の目が、じり、とさらに狭まる。完璧だったはずの爆モテ委員長が、完全に余裕を失って、佐久間を壁に縫い付けたまま感情をぶちまけていた。
「嫌いなら、なんで毎日俺のクラスの方に来るんですか?」
ずっと胸の奥に閉じ込めていたんだろう、目黒の本音が溢れ出す。
「なんで他の奴じゃなくて、俺の前でばっかり騒ぐんですか。なんで俺が他の女子と話してる時、いつも物陰から見てるんですか。……俺がどんな気持ちで、先輩の制服を直して、どんな気持ちであの手を離したか、先輩は何も分かってない」
あまりの熱量に、佐久間は息を呑んだ。
ラウールが言っていたことは本当だったのだ。目黒は、佐久間の「大嫌い」という言葉に、誰よりも傷ついて、必死に強がっていただけだった。
「それ、は……っ!」
言い返そうと言葉を探すが、頭が真っ白になってうまく喋れない。
心臓の音がうるさすぎて、自分の声さえ見失いそうになる。
でも、ここで逃げたら特攻隊長の名が廃る。
佐久間はギュッと拳を握りしめ、掴まれたままの手首に力を込めて、目黒の胸元をぐっと睨み返した。
「……だったらお前こそ、なんで風紀委員でもないのに俺のことばっか捕まえるんだよ!!」
「それは学級委員長として、」
「嘘つけ!!」
佐久間は大声で目黒の言葉を遮った。
「他の違反者には冷たく注意するだけだろ! なんで俺の時だけ、わざわざあんなに近くに来て、自分でリボン結び直したりすんだよ! 触りたくないって言ったくせに、今だってこんなに強く掴んでるじゃんか!!」
ハッとした目黒の手が、微かに緩む。
だが、佐久間はその手を振り払わなかった。逆に、目黒のブレザーの襟元をグッと自分のほうへ引き寄せる。
「俺はバカだから、昨日まで自分の気持ちが何なのか全然分かんなかった。でも、お前に嫌われるのが、他人に戻るのが、死ぬほど嫌だってことだけは分かったんだよ!」
夕暮れの赤い光が、2人の影を長く壁に映し出す。
佐久間の瞳から、ぽろりと大粒の涙がこぼれ落ちた。
「お前なんか、大嫌いだ……。大嫌いだけど、……誰よりも、大好きなんだよ、バカ!!」
ついに叫んだ、本物の気持ち。
その瞬間、目黒の目が見開かれ、準備室の時間が完全に停止した。
✂︎————キリトリ線———–✂︎
なんか9話のこと10話って言ってたね
10話もできてるんで出します
コメント
1件
おお、ついに来たか第9話…!壁ドンからの感情大爆発、めちゃくちゃ熱かったわ。特に目黒の「俺がどんな気持ちであの手を離したか」って台詞、伏線回収がエグかったし、佐久間の「大嫌いだけど大好き」は正直グッときた。二人とも嘘つきで不器用すぎて、それでもぶつかれたのが良かった。続きマジで待ってます🔥