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Luna🍏☃️🍼
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ネオンの光が滲む夜だった。
ホテルの一室。
静まり返った空間に、シャワーの水音だけが響いている。
ベッドに腰掛けた勇斗は、スマホを片手で弄りながら浴室の扉を見つめていた。
数分後、扉が開く。
柔太朗は、濡れた髪をタオルで拭きながら出てきた。
「……まだいたの」
「帰ってほしい?」
低く返された声に、柔太朗は小さく舌打ちをする。
「そうなる?」
勇斗は笑わなかった。
ただ真っ直ぐ柔太朗を見る。
その視線が重い。
重すぎる。
最初はただの客だった。
金払いがよくて、指名しかしなくて、毎回ラストまで居座る変な男。
でも気づけば、勇斗は柔太朗の“仕事”の外側まで入り込んでいた。
「今日もあいつに触られてた」
「……客だから」
「笑ってた」
「仕事だって言ってんじゃん」
苛立ったように返すと、勇斗はゆっくり立ち上がる。
長い脚が数歩で距離を詰めた。
「俺以外にあんな顔しないで」
耳元で囁かれて、柔太朗は息を詰まらせる。
「……無理。ホストだから」
「辞めれば」
即答だった。
柔太朗は眉を寄せる。
「簡単に言うなよ」
「簡単だろ。俺が養う」
「は?」
勇斗の指が、柔太朗の濡れた髪を掬う。
優しい触れ方なのに、逃がす気がない。
「柔太朗が他の男に笑うの、ほんと無理」
「重……」
「知ってる」
そう言って勇斗は笑った。
でもその目は全然笑っていない。
柔太朗は昔から、人に執着されたことがない。
みんな勝手に寄ってきて、勝手に理想を押し付けて、飽きたら離れていった。
なのに勇斗だけは違う。
どれだけ突き放しても離れない。
「……なんでそんな好きなの」
ぽつりと零すと、勇斗は少し黙った。
それから、柔太朗の頬に触れる。
「柔太朗が俺見て泣きそうな顔するから」
「は?」
「助けてって顔してる」
柔太朗の胸が痛んだ。
それは、柔太朗にとって図星だった。
仕事は嫌い。
客に触られるのも、本当は苦痛。
でも売れなきゃいけない。笑わなきゃいけない。
全部、見透かされている。
「……勝手にわかった気になんな」
震える声で言うと、勇斗はゆっくり額を寄せた。
「じゃあ違うって言って」
言えなかった。
沈黙の代わりに、勇斗の腕が柔太朗を抱き締める。
強く、苦しいくらいに。
「もう店行かなくていい」
「……無理」
「無理じゃない。俺が壊れる前に辞めて」
その声は懇願みたいだった。
愛なのか、執着なのか、もうわからない。
けれど柔太朗は、抱き締め返せなかったくせに、突き放すこともできなかった。
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コメント
4件

最高すぎます✨️ しばらく諸事情でコメントできないのですが、作品は見させて頂きます!これから応援します!!
今回もめちゃめちゃ最高でした👼💕