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5章「愛」
rb「…」
ut「っ…」
大先生は困ったような顔をしている。
俺が泣きながらあんなことを言ったからだろうか。
でもこうでもしないと…いや、こうなったんだけど…。
何だか俺の気持ちが抑えられなかった。
苛立ってくるのに悲しくて。
悲しいのに疲れて。
疲れてるのに願って。
でも待つ。おかしな話だ。
そして数十秒間、沈黙のままだ。
すると________
ut「…昔、シャオロンを助けたんや。」
rb「!」
急にそんなことを話し始めた。
大先生の話を俺は聞く。
そして大先生は話し始める。
ut「…あいつはよくいじめられてた。いや、まぁ俺もだけど。」
rb「ほぉ…。」
ut「…それでその時に約束したのは”お互いを守る”ってことやった。」
rb「…」
この流れから察した。
きっと、大先生は_____________
ut「…でも」
rb「お前が守れなかった。」
ut「!」
シャオロンだけが約束を守ったのだ。
そしてその約束を大先生は
破ってしまったんだろう。
ut「…はは。せやな。その通りや。」
rb「…だからって、抜けることになんか関係あるんか?」
ut「…まぁ、な。約束の話も一応な。」
rb「…」
まぁ、無駄話はやめようか。
…お前に教えるためにも俺が言うしかない。
rb「…俺、昔チーノと喧嘩したんや。」
ut「っえ?」
急に何の話?みたいな顔をしている。
rb「結果的には俺が悪かったんやけど…。」
ut「…どーゆー喧嘩なん?」
rb「…俺がチーノの大切なものを壊したんや。…あの時のチーノは多分我慢してキレてたと思う。」
ut「…?どーゆーことや?」
rb「心の中では相当キレてたけど表に出すのは我慢してたんかなって思っとる。」
ut「…」
rb「…その時のチーノは言ったんや。」
その時のチーノは俺からすると超怖かった。
手は震えて頬から流れてる涙。
でも顔は怒っていて…。
怖かった。やって、チーノのガチギレは誰も見たことないから。
でも、あいつは相当我慢して優しい声で話しかけてくれた。
そしてあいつが俺に言ったことは_________
『俺の友達がくれたものなんやで。
“その子”は元気にしてるかわからへんのんや。』
我慢していってくれた言葉に俺は心に刺さる。
rb「…貰ったものを壊しちゃったんやけど、”その子”って誰かわかるか?」
ut「ま、まったくわからへんけど…」
まぁ、そうなるよな。
…でも察しがいい人は気づくんやろな。
“その子”っていうのが。
rb「…”その子”は『シャオロン』やったんや」
ut「っえ?!」
だいぶ驚いてる大先生。
その証拠に声がクソほどでかい。
rb「…何を壊したと思う?」
俺は問う。
そんなのわからないだろって感じやけど
これは大事な話やから。
ut「…わからへんよ。」
当たり前の返事が返ってきた。
まぁ、そりゃそうよな。
だから俺は言う。
rb「眼鏡や。」
ut「…」
相手は何も反応しない。
眼鏡は別にまた買える。だけど地味に高い。
それが故に反応がないんやろうなと思う。
そうして少しの間沈黙が起こる。
ut「…なぁ。」
するとあいつは話しかけてくる。
ut「…俺、考え直すよ。」
rb「!!」
そう言われた。びっくりしたが安堵が勝った。
嬉しくて泣きそうだ。
いや、心では泣いてるのかもしれへんな。
それでもそれぐらい嬉しかった。
だって人の役に立てたんやから!
rb「…おう。しっかり考えろ。答えが出るまで。」
ut「…気晴らしにさ、久々に話そうや。」
rb「…ええな。」
ut「…あ、そういえば話さなあかんことがあるんや。」
rb「?」
そう言うとあいつは不思議そうな顔をして俺を見つめる。
ut「お前は病気があって心配されるのと病気がなくて心配されないの。どっちがええ?」
単純で難しい質問だ。
病気の辛い分を耐えなければならないけど
愛はもらえる。
辛い分を耐えなくてもええけど愛はない。
そんな問題。
rb「…せやな。」
ut「…俺は病気がなくて心配されない。やな。」
rb「…理由聞いてもええか?」
ut「…辛くなりたくないから。痛みを一生耐えるのが嫌やから。」
…そうか。
rb「…俺もそれやな。」
ut「はっ、そうか。」
少し煽られながらも笑われた。
何やねん何もしてねぇだろうがよ。
ut「…シャオロンに言われたんや。」
rb「は?」
急に話を変える。いや、変えるというか
俺に言うんだ。
ut「『お前みたいに病名がつけば心配されるんか?』って。」
rb「…あぁ。」
聞いたことのある文。
rb「…聞いたことあるよ。」
チーノから聞いたことあるんや。
「シャオロンにそう言われた。お前ならどうする?」って。
ut「…お前ならどう答えた?」
…俺のあの時の答えは「怒るよ。」って。
でもチーノに苦笑された。
その時の俺はまだシャオロンの事情を知らなかったときだからそう答えた。
でもその時はチーノはもうシャオロンの事情を知ってたんや。
だから事情を知ってる今だからこそ答えられるんやけど…
rb「怒るよ。」
あの時と同じ答え方でいった。
ut「…そっか。」
会話はそれで終わった。
◇◇◇
ロボロに気絶させられてから数分。
なんか意識戻ったが動くわけにはいかなかった。
だってロボロが大先生に説教してんねやから。
まぁ俺が起きたタイミングが悪いんかすぐ終わったけど。
そうして話を聞いていく。
早く終わってくれんかな。体制維持するのきついんや。
すると大先生がこんなことを話し始める。
ut「お前は病気があって心配されるのと病気がなくて心配されないの。どっちがええ?」
…なんだ、それ。
俺のあの言葉でそんなこと聞いたんか?
まぁ、2人とも病気がなくて心配されない方やろうな。
そりゃそうや。痛い思いをしたくないからな。
でも俺は違う。
病気があって心配されたい。
何でかって言うとそんなの簡単や。
今痛い思いをしてるからもう慣れたもん。
でも俺は痛い思いをしても心配されない。
だから俺はそっちを選んだ。
sho「…ええなぁ。」
そんな言葉が出たけど2人には聞こえてなかったみたいや。
よかった。
すると思いもよらぬことを大先生が言った。
ut「…俺、考え直すよ。」
嬉しかった。俺の努力が報われた気がした。
いや、絶対に報われたやろう。
そうして何分か経って俺は2人の会話を聞いて
タイミングのいいところで起きようとする。
sho「…んっ。」
rb「!シャ、シャオロン?」
ut「!!」
sho「…っあ、ロ、ロボロ。」
rb「…ごめん。急に気絶なんかさせて。」
謝ってくるロボロ。
でも俺のためにやったことやろうから
俺は別に気にしていない。
sho「ええよ、俺らのためやもんな」
rb「…おう。すまんな。」
ut「…シャオロン。」
今まで黙っていた鬱先生が話しかけてくる。
ut「…俺、考え直す。我々だのこと」
sho「…」
さっきも聞いた通りだった。
sho「…ほんまか。ありがとう。無理にとは言わんけど…よく考えるんやで。」
フォローをする。
ut「…おう!」
そしてそれに元気に返事をする。
…嬉しかった。とにかく嬉しい。
rb「…じゃあ帰るか!」
sho「…おう!!」
ut「せやな!」
帰りはたくさん話した。
…その時間が楽しかった。
この時間がずっと続けばいいのに。
でも、そうはいかなかった_________。
rb「ただいま〜」
sho「た、ただいま。」
ut「…か、帰ったぞ〜」
まだみんなには一着したことを言ってないから
控えめに入る。
だがなんだか今日のみんなは「違った」。
どんどんどんと大きい足音が聞こえる。
kn「ロボロ!!シャオロン?!大先生?!」
tn「お前ら一着ついたんか?!」
sho「つ、ついたけど…」
ut「そんな慌ててどしたんや?」
shp「チ、チーノが!チーノがおらんくなったんですよ!!」
ut&sho&rb「っは?!?!」