※青桃
※エセ関西弁
※御本人様とは関係ありません
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「よ、しゃっちょ遊びに来たで」
扉を開けるなりそう口にすると綺麗な桃髪がさらりとなびき、こちらを振り向いた。
「…はいはい、どうぞ遊んでください」
適当にあしらわれるのはもう慣れているのでいつも通りソファに座る。
座った位置の先に見えたのは大量のエナドリの空き缶が乗ったないこのデスクだった。
これも、いつも通りの景色。
「いい加減飲みすぎるの辞めた方がええよ?体調悪くしても看病くらいしかしてやれんからな」
「分かってるよ…でも飲んでたら段々カフェイン中毒になってくんだよなぁ」
「これないと無理かも、みたいな」
あはは、と呑気に笑っているが前に体調悪くして半泣きになってたの忘れてないからな。
「でも…看病してくれるんなら悪くなってもいいよね」
「あほか」
「嘘だよ、流石に自分から壊すようなことしないから」
なんて言いながらまたエナドリを片手にパソコンを叩き始めるこいつは発言の意味を分かっているのだろうか。
今までだって走り続けることを辞めないないこを俺らで止めてみようともしたことがあったが、効果はこれっぽっちもなかった。それが分かってからは壊れないようにサポートしか出来なくなってしまった。
「俺だって心配するんやからな」
「嬉しいこと言ってくれんじゃん」
「そりゃ相棒だし、」
それに_
更に言葉を紡ごうとしたその時、扉が音を立て豪快に開いた。
「ないちゃん!やっぱりここに居たんだ」
「て、いふくんも居たんだ」
うげ、なんて思ってもなさそうなくせに嫌そうな顔をされると同じように返したくなるもんだ。
「いて悪いのかよ、べーだ」
「はいはい、ビジネス不仲は裏でやらなくていいから」
なだめるように笑うないこに免じて今回は許してやる、次はほとけにラーメンでも奢ってもらおう。
「で、いむはどうしたん?」
「あ、そうそう!SEとかの事でちょっと聞きたいことあってさー?」
「また俺があげたやつ無くしたの!?」
「無くしてないけど……まぁとりあえず来てくれない?」
どうやら何時ぞやの配信でも聞いたことがある内容のようだ。
「はぁ……しゃあなしな」
仕方ないとため息を吐きながらも頼られて嬉しそうな表情をしている辺りないこの人柄の良さが滲み出ている。
「『しゃあなしな』っていふくんの真似じゃん、ないふがもっと似てきてるじゃん」
「声も近づけたらいふくんそっくりだよ」
言われてみれば確かに俺の真似だった。何時だったか、ほとけにも真似されたっけ。流石相棒だね、と付け加えられる。
「じゃあちょっとないちゃん借りてくね」
返事をする間もなくグイグイとないこの肩を押していくほとけ。
パタリと扉が閉まると先程まで賑やかだった部屋が一気に静まり返った。
すぐ終わりそうな雰囲気だったからコンビニでおにぎりでも買ってこようかな、なんて思ってソファに置いていたバッグを取ろうとすると、あるものが目に入った。
ないこが資料に付け足す時に使う発色の良いピンク色のペン。その横には青、水色、赤、紫、黄と続いていた。しょにだとあにきの分は本来なら白と黒が欲しかったところだろう。きっと妥協してサブカラーを買ったのだと思う。
「ほんま、俺らのこと好きやなぁ」
机の上にあるポーチだって無防備にピンク色だった。…付いているキーホルダーは半透明に青く色付いた水晶のようなものだった。
そういうとこなんだよなぁ。
周りにはバレないようにひっそりと想っていてくれるところが堪らなく好きだ。
「……あ、やべ結構時間経ってるわ」
周りを物色しているといつの間にか時間が経っていたようだ、これはコンビニに行くとないことすれ違いになるパターンか。
大人しく帰ってくるまで待機することにした。
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「ただいまー、ってまろまだ居たんだ」
「まぁな、コンビニ行こうかと思ったけどすぐ終わりそうな感じして」
「そっか」
元いた椅子に座って一息つく。
「待っててくれるなんて優男やなぁ」
長年いるせいで少し移った関西弁混じりで話す。
「しゃっちょのためならいくらでも待ってやりますよーだ」
「ふふ、…あ、そうだ」
「さっきいむに『ないふってほんと熟年夫婦だよね』って言われたよ」
「あいつが?裏でも言ってくるなんて相当やな」
「一瞬何事かと思ってヒヤヒヤしたけどね」
「まぁほとけのことやし、適当に言っただけやろ」
「そうだろうね」
本当に、ああいう時特にいむは勘が鋭いんだから。似てきている、なんて言われたけどわざと似せてるなんて誰にも言えるはずもなく。
俺、活動始めたばっかの時は全然関西弁交じりじゃなかったんだから。なんなら犬系男子設定だったし。
目の前にいるこいつに5年間の間で色々な影響を受けたんだろう。
「じゃ、そろそろ暗いしおにぎりでも買いに行こ」
言うタイミングを狙っていたかのようにバッグやらジャケットやらを羽織りだすまろ。
その深い青に包まれた瞳は俺だけを映している。
「いつものコンビニ?」
「おん、今日はエナドリ禁止やからな」
「分かったよ…今日だけね」
誰にも悟られぬようこっそりと手を引く真似をして指を絡めあっているのは、これから先も一生続く俺ら二人の秘密。
コメント
19件
好きです😭😭😭 青さんの真似をする桃さん可愛すぎる😇 🔪じゃないと出せない感じの雰囲気最高🥹🥹
元気出た。 テスト頑張ってくるます。 神作ありがと
やっぱり🔪はいいね