テラーノベル
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「さて、再来週の修学旅行だが……班は自由だ。今日中に決めて提出しろよ」
担任のその言葉が終わるか終わらないかのうちに、教室内には凄まじい殺気が立ち込めた。 栞は机に突っ伏し、気配を消そうと必死だった。どうか、どうか適当な女子グループの端っこに滑り込めますように……。
「一ノ瀬」
右から、低く鋭い声。 **高嶺透(高杉)**が、腕を組んで栞の机の前に立っていた。 「京都か……。奴らが作った腐った平和なぞ、俺がこの手でぶっ壊してやる。貴様は俺の隣でその終焉を見届けろ。……あ、お前の分のしおり、俺が完璧にデコっておいたからな。集合場所からトイレの場所まで全ページ付箋付きだ」 (執事体質が爆発して、もはやガイドブックより詳しい冊子を差し出す透)
「ちょっと待った、高嶺。自分、勝手に決めんといて」
左から、華やかな香りと共に**扇蓮(直哉)**が割り込む。 「一ノ瀬さんは俺と京都の街を練り歩くんや。ええ着物も用意させたる。俺の隣に立つのにふさわしい格好させてあげなな。一ノ瀬さん、俺と一緒に五重塔バックに自撮りしよ? 自分、映えるでぇ」 (自分の見栄えのことしか考えていないようで、実は一番いい着物屋を予約済み)
「……おいお前ら、うるせーよ。耳の横でギャーギャー喚くな」
最後の一人が、椅子の背もたれに逆向きに座って現れた。学園1位の絶対王者、**坂上竜(銀時)**だ。 彼は欠伸をしながら、栞の頭にぽんと手を置く。 「京都ぉ? んなもん八ツ橋食うためのイベントだろ。一ノ瀬ぇ、お前も八ツ橋の試食全制覇したいよな? だったら俺の班に来い。先生にはもう『一ノ瀬は俺のペット枠で登録しといた』って言っといたから」
「「勝手に決めるな!!」」
透と蓮が同時に竜に掴みかかる。教室は阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
「竜さん、あんた1位の特権乱用しすぎやろ!」 「うるせー、早い者勝ちだ。一ノ瀬、逃げるぞ」 「逃がさん……! 一ノ瀬、俺が予約した高級精進料理はどうするんだ!」
「あの……」 栞がおずおずと口を開く。 「私、女子の班に入らないとダメなんじゃ……」
三人は一瞬止まり、そして同時に言った。
「「「俺たちが女子力(とおもてなしの心)でカバーするから問題ない」」」
結局、学校側の配慮(という名の竜の圧力)により、**【坂上・高嶺・扇・一ノ瀬】**という、学園トップ3が陰キャ女子を囲むという前代未聞の「ドリーム班」が爆誕してしまった。