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カイドウの海賊団が6周年の祝宴をあげてから約2年後の朝、『おはようございます!副船長!』一人の男がアマガサに声をかける。
『おぉ!モンテロ!今日はやけに起きてくるのが早いな!』オルカ・モンテロ、2丁拳銃を得意とする最近頭角を表した20歳くらいの新人だ。
『例の島に着くの、今日じゃないすか』モンテロは嬉しそうにそう言った。
『あぁ、そういうことか』とアマガサは呟く。
『それに今回はカイドウさんから船員を率いて先鋒を務めるように言われたんです』それを聞いてアマガサは『そうか、だが敵がいたらすぐに引き返すんだぞ』とモンテロに告げた。
『わかってますよ』そう言いモンテロは船底の方へ行ってしまった。
それと同時にサイエンがこっちにやって来た。
『アマガサさん、モンテロのやつ見かけませんでした?2丁拳銃の改良品を渡したいんですが』とサイエンが問う。
『あぁ、モンテロなら船底の方に行った、ちなみに改良品はどんなやつなんだ?』アマガサが興味深そうな顔をしてサイエンの手にあった2丁拳銃を見る。
『コイツはすげぇすよアマガサさん、この2丁拳銃の玉には毒が仕込まれあるんす。MADS時代のとき、同僚のシーザー・クラウンていうガスのスペシャリストからもらったんすよ』サイエンは自慢げにそう話した。
『なるほどな』そう言いアマガサはその2丁拳銃を見つめた。
『それじゃ、俺はこの辺で』そう言いサイエンは船底に向かった。
(思えばほんとにデカくなったもんだ)アマガサは心の中でそう呟く。
(最初は俺とカイドウとアルベル3人しかいなかったのが今では総勢800人の海賊団、本当にデカくなったなぁ)アマガサはそう思い一人一人の船員の顔を見つめる。
その時、『島が見えて来だぞ〜!』と船員の1人が叫ぶ。
別の船員が急いで碇を下ろす。
『オメェらぁ上陸だぁ!』突如カイドウがそう叫んだ。
それと同時に『ウオォォ!』モンテロ率いる船員100名が次々と船を降りていく。
そんなモンテロの姿を見てアマガサは『無理すんなよー!』と大声で叫んだ。
しかし、その声はモンテロには届いていなかった。
『オメェら止まれ』モンテロは船員たちにそう叫んだ。モンテロが何かを見つけたらしい。
(あいつらは…白ひげ海賊団!?)島の向こう岸にとまっている船の旗を見てモンテロは確信した。
『おめぇら!よく聞け!島の反対側に敵船を見つけた!白ひげ海賊団だ!いいか!?コイツら殺してカイドウさんのところに首持ってくぞ!』
『おう!』モンテロの意気込みに船員たちは勢いよく応えた。
その瞬間カイドウの海賊団の船員たちは勢いよく白ひげの船へと向かっていく。
『敵襲!敵襲〜!』白ひげ海賊団の船員が叫んだ。
『うおりャァ』『グハァっ』たちまち船員同士の戦いが始まった、『白ひげはどこだー!』モンテロがあたりを見まわしそう叫ぶ。
『いたぁ…』白ひげを見つけたモンテロは口角があがった。
その時、『うおりゃぁぁ!!』何かがそう叫びながらモンテロの方へ走ってくる。
『なんだ!?』モンテロは急いでその方向へ振り向く、その瞬間、『銃・擬鬼!』『ガハァ!』モンテロはその一撃をくらい大の字に倒れた。
『おでん隊長ー!』白ひげ海賊団の船員が一斉に歓声をあげる。
(おでん…わけわかんねぇ名前だな…)モンテロはそう心のなかで呟く。
『じゃあな坊主』そういいおでんという男が刀を振りかざしたそのとき、カキン!あたりに高々と金切音が響いた。
『…ッ!副船長!』モンテロが叫ぶ。
そこにはおでんの攻撃を金棒で受けたアマガサの姿があった。
『ありがとうございます!』モンテロがそれを言い終わると同時『敵がいたら引き返せと言ったはずだ!』とアマガサが怒鳴った。
それを聞いたモンテロ少し予想外だったのか驚いた顔をして『すいません!』と即座に謝った。
『安心しろ、すぐ船に戻れるからな』ボロボロのモンテロを見てアマガサはそう言った。
『ありがとう…ござ…います…』その瞬間モンテロは意識を失った。
モンテロが喋り終わった途端アマガサはすぐに正面を向いた。
(なかなかの剣圧だ、しかもこの顔どっかで見た覚えがある)
そのときおでんがアマガサにこう尋ねた。
『お前ワノ国の人間か?』そう聞かれた瞬間アマガサの記憶が蘇る。
(あぁ、コイツ、スキヤキの…若い頃から色々と噂はされていたがここまでの才能の持ち主とはな…)光月おでん後にカイドウとは対立することになるが、まだこの頃そんなことは誰も知らなかった。
『あぁそうさ、そしてお前スキヤキ公の御子息だろ?どうしてこんなところに?』アマガサはおでんの刀を弾き返しながらそう答えた。
『色々あってなぁ!』そう言いおでんはまた刀を振りかざした。
そこからはアマガサとおでんの激しい攻防が続いた。
先ほどよりも激しく金切音があたりに鳴り響いた。
ある程度攻防が続いてからアマガサはおでんから距離をとった。
『今回はこの辺でお暇させていただくぜ』そう言いアマガサはモンテロを抱えてその場から駆け出した。
『待てぇー!』おでんがそれを追おうとする、『そのへんにしておけ、おでん』そう声をかけたのは白ひげだった。
『なんでだよ!白きっちゃん!?』疑問を浮かべたおでんに対して白ひげはこう答えた。
『おそらくあいつは、カイドウの海賊団のアマガサだろう、ということはカイドウもいる、あいつらと戦えばより大きな犠牲が出るからだ』
おでんはそれを聞き小さく頷いた。
アルベルは帰りが遅いアマガサとモンテロのことを心配しながら島の反対側を見つめていた。
タッタッタッタッ、その時アルベルは何かが走ってくる音を感じた。その方向を見た瞬間アルベルは叫んだ。
『おい!皆んな!アマガサだ!』その声がアマガサにも聞こえる、『モンテロがマズイすぐに治療してやってくれ!』アマガサが叫ぶと、船から医療キットを持った船員たちがゾロゾロと降りて来た。
『傷口をおさえろ!』『輸血パックをもっとだ!』モンテロの周りからは様々な声が聞こえてきた。
治療が終わってからモンテロは船底へと運ばれていった。
(うっ…ここは…)ハッ…!『副船長!』モンテロは起き上がるなりそう叫んだ。
『大丈夫だ俺はここにいる、船員たちが治療してお前をここに連れてきてくれたんだよ』モンテロはその声を聞くアマガサの方を見た後あたりを見まわした。
『ここは…船底…?』モンテロは気絶から目覚めたばかりで頭があまりまわっていない。
しかし、すぐに気を取り戻し少し落ち着いた後、モンテロはアマガサにおでんのことを尋ねた。
『あいつむちゃくちゃ強かったですけど大丈夫すか?』モンテロは心配そうにアマガサに言った。
『なんとかな、だが間違いなくあいつは俺より強かった』そう言ったアマガサの姿はモンテロからみて少し悔しがっているようにも見えた。
それから少し2人で話をした後アマガサは船底を出ていった。
そうして白ひげ海賊団との戦いから2週間が過ぎてモンテロの傷は完治した。
ある日、そんなモンテロはアマガサの元を訪ねた。
『副船長!』モンテロがアマガサを呼び止める。
『どうした?モンテロ』あまりにも急だったのでアマガサは少し驚きながら返した。
『単刀直入に言います!俺と稽古してください!』そう言いモンテロが深々と頭を下げた。
それに対してアマガサは『よし、いいだろう!』と気前よくこたえ、早速モンテロに稽古をつけ始めた。
『モンテロお前の銃の腕は確かにピカイチだ、だがその前に敵を見つけないと元もこうもない、ましてや敵が迫ってきた時それに気づくことができなければ銃での接近戦となるため、それは圧倒的に不利だ』アマガサはモンテロに対し淡々と話した。
『そこで見聞色に挑戦してみてほしい』そう言われたモンテロはアマガサに対し『見聞色とはなんですか?』と問う。
『簡単に言えば相手の気配を感じ取る能力だ、極めれば少しさきの未来まで見れるとも聞くぞ!』と話す。
それを聞いたモンテロは『すげぇ!早く稽古しましょうよ!』とアマガサを急かした。
『少し待ってろ』そう言いアマガサは船底の方へ降りていった。
そこからしばらくしてアマガサが持ってきたのは黒い布切れだった。
『今度から敵と戦うときお前はこれをつけて戦え。』それを聞いたモンテロは『え?嘘ですよね?』と焦った表情を見せる。
『いやほんとだぞ?』とアマガサは当たり前のように言った。
(マジかよ)と思いながらモンテロは『分かりました!』と潔く答えた。
それから1年後、見聞色を開花させたモンテロは下っぱから幹部へと昇格していた。そんななか一枚の手配書が船の上に落ちてきた。
それを拾ったモンテロは大声で叫んだ。
『アマガサさん見てくださいよこれ!』
それを聞きつけモンテロの方へきたアマガサはその手配書をみた。
『おぉ!やったな!』その手配書にはこう書かれていた。
オルカ・モンテロ懸賞金6320万ベリー
この日を境目にモンテロは新世界に名を轟かせ、後に初代ジャックと呼ばれるまでになった。
第4話 完