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🍆🐷のBLです。
御付き合い済みのふたりの初夜を書きたくて手を出してみました。とりあえず触りだけ。続きはフォロー限定でだします。
続きはがっつりと長めにえっちなのを書く予定ですので苦手な方はごめんなさい、ここまでで。
(men視点)
覚悟を決めてここまで来たが
「帰りてぇ…」
もう既に心は折れかけていた。
(後悔はしてない。でも…)
「うぅ……どうしよ」
ただどうしたら、どういう顔して会えばいいのかわからないのだ。この目の前のドアの先で待っているであろう人に。
(いつもみたいに笑って挨拶して、それで)
それでいい筈なのだが、だが今日はいつもとは全く違う。そう、あの約束を果たす日なのだ。全てはこの日の為に。あの人はずっとずっと耐えながら待ち続けてくれた。そんな大事な日。だからこそ、いつもと同じようにが出来ないのだ。
「どうしよ……」
正に途方に暮れて、呼び鈴も鳴らせずにドアの前で立ち尽くした。
(ぼんさん視点)
今日は待ちに待ったあの約束が結実する日。この日の為にどれだけ我慢をしてきたか。
(よく我慢できたよなー、ほんとっ)
約束というか、ただ想い人の為をもって俺は我慢し続けてこの日を待ちわびていた。いや、正直いうならば少し……いやだいぶ楽しんでもいたが、とにかく今日は人生で一番たのしみな日なのだ。
「早く来ねぇかなー、menのやつ」
時計を見ると既に約束の時間は過ぎていた。
「おっかしいなー。もう着いててもいいのに」
まさか何かあって来れなくなったのかとメッセージを確認するが、それらしいメッセージは来ていなかった。彼はズボラなんて言われているが、約束を破るようなそんなちゃらんぽらんではない。ならどうして?
「まさか……」
怖くなって逃げた。というワードが浮かんだが
「いや、ないな」
即否定も浮かんだ。なんせ彼もこの日を期待してたようなのだから。
「あれ、ヤバかったなー」
約束の日取りを決めていた時にみせた、恥ずかしがりながらも僅かな期待を滲ませた紅潮した顔。一拍おいて「いよいよですね…」と囁かれたあの艶を含んだ吐息のような声。
「あれはマジで、ヤバかった……」
思い出すだけで、ズクっと下半身が疼いて体温が上がった気がする。いや、見事に下半身が反応を示していた。
「いやいやまだまだ、我慢。我慢しろ。はやいって」
冷静になるように下半身に言い聞かせるが、気分は落ち着かない。これは水でも飲んで落ちつかせるかと腰を上げてキッチンへ向かおうとしてふとドアに目を向けた。
なんだかドアの向こうで人の気配がした気がしたのだ。暫く様子を伺うが、呼び鈴を押す気配がない。なんだかドアの前で立ち尽くしてるように感じる。まさかmenかと思ったが、彼なら呼び鈴を直ぐに押すはずだ。だったら誰なのか。
「まさか変質者とか?」
このタイミングでなんて最悪なことか。直ぐに警察を呼んでやろうかと思ったが、いまからmenが来るのだ。警察を呼んだらあの約束が流れてしまうかもしれない。いや、流れる。確実に。
(クソ〜、めんどくせぇ……)
ガっとドアを開けてぶん殴る姿勢でもみせて追い返そうか、それとも大声を出して驚かせてやろうかと考えながら、とりあえず姿をみてやろうと忍び足でドアに近づく。そっとドアスコープを覗くと
(は?men?)
ドアスコープの覗いた先にいたのは待ち焦がれていた相手だった。だが来てくれた喜びより、何故ドア前で立ち尽くしているのかがわからずに困惑してしまう。
(声、かけたら……なんか逃げそうだな)
ドアスコープの先ではmenがソワソワと落ち着きなく辺りを見渡しながら、何度も後頭部を撫でては小さな唸り声をだしていた。
まるで今から怒られるのがわかっててなかなか部屋に入れない子供みたいな姿。
(やべっ、かわいいけど…これはマズくないか)
てっきりmenも期待してると思っていた。だがいま目の前にいるmenはそんな風には見えない。なんだか逃げだしたいが、逃げれなくて困ってるように見えた。
(ど、どうしたら)
二人で果たそうとしてる今日の約束は嫌々するものでは無い。お互いの気持ちがちゃんと重ならなければならないものだ。
(か、帰らせる?いやいや、それだと追い返すみたいだよな。え、どうすりゃいいーのよ。これ)
頭の中が一瞬で真っ白になって次の一手も全く浮かばない。ドア向こうのmenと同じく、ドアスコープを覗いたままおれは立ち尽くしてしまった。