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あの頃、俺たちは付き合っていた。
隠しているつもりだったけど、多分最初から隠せてなんかいなかった。
長く一緒にいる六人しかいないグループの中で、視線も空気も距離感も、当然全部ごまかしきれるわけがない。
最初に気づいたのは多分深澤だったと思う。
「お前らさぁ、もうちょい隠す努力しろよ」
呆れたみたいに笑われて、俺は「え!?そんな分かりやすい!?」って焦っていた。
でも翔太は全然焦らなかった。
「別によくね?」
その一言に、「認めてるようなもんじゃん!」と、俺の方が真っ赤になっていたのを覚えてる。
翔太はそんな俺を見て、面倒くさそうに笑っていた。
「今さらじゃん」
「今さらってなに!?」
「バレてんだからしょうがねぇだろ」
そう言いながら、当たり前みたいに俺の飲みかけのペットボトルを取って飲むから、余計に隠す気なんかない。
「ほらそういうとこ!」
「うるさ」
そのやり取りを見て、深澤が腹抱えて笑っていた。
「いや、ほんと分かりやすすぎんのよ」
「佐久間が顔に出すぎなんだよな」
照が呆れたように言う。
「え、俺!?」
「翔太は通常運転すぎて逆に怖い」
「何それ」
阿部ちゃんは困ったみたいに笑いながら、「まぁでも、仲良いのはいいことじゃん」と言った。
その隣で、舘が頬杖をついたままにやりと俺たちを見ている。
「青春だねぇ」
「茶化さないでよ舘?!」
「でも佐久間嬉しそう」
「うっ……」
図星だった。
だって嬉しかったから。
レッスン終わり、自然に隣にいられること。
疲れた時、何も言わなくても翔太が飲み物を渡してくれること。
帰り道、くだらないことで笑い合うこと。
みんながそれを当たり前みたいに受け入れてくれていること。
全部、ちゃんと幸せだった。
からかわれることはあっても、気持ち悪がられたことなんて一度もない。
みんな不器用な俺たちのことを、ちゃんと見守ってくれていた。
仕事は不安定で、先なんて見えなくて、デビューできる保証もどこにもなかった。
それでも怖くなかった。
翔太が隣にいたから。
六人で笑っていられたから。